本文へ移動

2018年バックナンバー

雑記帳

アメリカの鋼材とアルミニウムの輸入関税

 アメリカのトランプ大統領は、平成30年3月初め、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税が課す大統領令に署名しました。

 

 米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は、平成30年2月22日、翌23日から導入される鉄鋼とアルミニウムの輸入品に対する追加関税について、EU加盟国のほか、韓国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンを除外する方針を明らかにしました。

 

 平成29年のアメリカの鉄鋼輸入高は330億ドル(3兆4600億円)でした。ここから、すでに除外すると明らかにされていたカナダやメキシコを含め除外された国々を差引くと、関税が適用されるのは全体の3分の1以下になります。

 

 これにより、関税が経済に与えるかもしれない影響だけでなく、アメリカ内の鉄鋼業が得る可能性がある好影響さえも弱まります。


 ただ、日本が除外されていません。

 

 しかし、日本は落ち着いているように見えます。
 もしかしたら、落ち着いているように見えるだけなのかも知れません。

 

 このうち、今回の措置の対象となるアメリカへの鉄鋼とアルミニウムの輸出額は、昨年20億ドル(アメリカへの総輸出額は632億ドル。日本の年間総輸出額は7783億ドル)ですから、さしたる数字ではありません。

 

 また、日本の輸出している鉄鋼・アルミニウムは、製品は、高性能・高品質なもので代替が難しく、除外されなくても、需要はあります。

 

 自動車産業についてみてみます。

 

 日本の自動車産業はアメリカ輸出が驚くほど少なく、マツダのみ突出して輸出比率が高いものの、ホンダなど5%前後にすぎません。

 アメリカで販売されているホンダ車100台のうち、日本からの輸出は5台ということになります。
 日産、トヨタも大半を現地生産しています。

 

 アメリカで生産されている自動車につかわれている鉄鋼やアルミニウムの、アメリカでの現地調達率は限りなく100%に近いそうです。

 現地調達分について、中国産の鉄鋼やアルミニウムに関税がかかれば、他の国の鉄鋼やアルミニウムを購入すればよいことになります。

 

 といっても、中国産の鉄鋼やアルミニウムに関税がかかれば、鉄鋼やアルミニウムの価格が高騰することは間違いなさそうです。

 

 ただ、それは、アメリカやヨーロッパの自動車業界も同じことです。

 

 何か、不思議なくらい騒ぎになっていないのは、日本にさほど影響がないだけかも知れません。

 

 除外を求めて、その見返りとして、他の点、たとえば農産品で譲歩したのでは話になりません。


 日本は、安易に妥協するのではなく、筋論をとおして、関税は甘んじ、他は拒絶するという方針でよいかと思います。

 

TOPへ戻る