2018年バックナンバー
雑記帳
マイナンバーと銀行預金
マイナンバー法の改正により、平成30年1月から、預金保険機構によるペイオフのための預貯金額の合算や金融機関に対する社会保障制度における資力調査や税務調査のために、預貯金口座にマイナンバーが付番されることになりました。
銀行等の金融機関は、預貯金者等情報(預貯金者の氏名(法人については、名称)及び住所又は居所その他預貯金等の内容に関する事項)を当該預貯金者の番号(個人番号又は法人番号)により検索することができる状態で管理しなければならなくなります。
したがって、金融機関は、複数口座について一つの個人番号や法人番号ですべて紐付けすることが求められることになります。
また、銀行等の金融機関は、顧客に対して「預貯金口座付番に関する事務」という利用目的を通知・公表・明示等することが求められます。
「預貯金口座付番に関する事務」との利用目的には、税務調査、社会保障における資力調査、預金保険法の規定に基づく名寄せ等の対応が特定されていると解釈されます。
預貯金口座にもマイナンバーが付番されますが、顧客からのマイナンバーの告知は任意のものに限られます。
新規顧客が個人番号を提供しなくても、金融機関は、預金口座の開設を拒否することもできません。
預貯金付番の規定の施行後3年を目途として(2021年)、金融機関が預貯金者から適切にマイナンバーの提供を受ける方策及び施行状況についての検討を加えて、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされています。
預貯金口座へのマイナンバーの任意による付番開始の3年以内(2021年まで)には、個人の預貯金口座についてもマイナンバーの付番が義務化される可能性があります。といいますか、個人の預貯金口座についてもマイナンバーの付番が義務化されるでしょう。
脱税やマネーロンダリングを防ぐということですね。
まず、マネーロンダリングについては、国際的な圧力もあるようです。
マネーロンダリング対策を検討する政府間機関「金融活動作業部会(FATF)」は、日本の顧客管理対策が国際基準を満たしていないと指摘しているようです。
口座開設時の本人確認が義務化されたのは平成15年からで、それ以前の口座では本人確認が不十分なためということです。
もっとも、私の実感では、義務化がされるまでもなく、平成に入ったころから、本人確認は厳格になされていたように思います。
次に、預金口座へのマイナンバー登録は、「脱税」防止という点から有益です。
サラリーマンは、自営業者、農業・林業従事者が不当に税金を逃れていると考えています。
「クロヨン」と呼ばれ、捕捉されている収入が、給与所得者は約9割、自営業者は約6割、農林水産業従事者は約4割といわれています。
また、「トーゴーサンピン」といって、捕捉されている収入が、給与所得者は約10割、自営業者は約5割、農林水産業従事者は約3割、政治家が1割という言葉もあります。
法律をつくる政治家自身が、1割ということですから、反発する議員も多いとみられます。
選挙制度改革が進まないのと同じ理屈です。
日本の銀行など預貯金口座は約8億あるそうです。印紙税の納付金額で簡単に口座数はわかりそうです。郵便貯金なども含めると10億口座を超えるそうです。
皆さんいくつ口座をお持ちですか。
休眠口座を入れれば、そのくらいあっても不思議ではありません。
さらに、生活保護受給者の不正受給の発見にも役立ちます。
市町村は、個人がどの銀行等に預貯金口座を持っているのか情報がないため、まとまった隠し預金をされていてもわからないというのが実情です。
全国銀行協会は協力的で、新たに開く口座に限ってマイナンバーの登録を義務付けた場合、300億円かかるとの試算を提示しています。
ただ、約8億(ゆうちょ銀行を含め10億)ある、既存の銀行口座にマイナンバーを対応させる場合、休眠口座の扱いや連絡が取れない保有者への対応など課題も多いということになります。
6000万以上の個人預金口座がある三井住友銀行の場合、各店舗に専用窓口を設置した場合ですら、6年以上の時間が必要だそうです。
ちなみに、休眠口座が多いというのは、日本の特殊事情です。
通常の先進国の金融機関は、一定の残高以下の場合には保管手数料をとります。
一時国有化されていた、りそな銀行は、一定の残高以下の場合には保管手数料をとり、マイナスになれば、口座を強制的に閉鎖してしまいます。