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2018年バックナンバー

雑記帳

ヤフオクに壬申戸籍

 平成29年8月26日までに、明治5年に作られた「壬申戸籍(じんしんこせき)」とされる文書が、インターネットのオークションサイト「ヤフオク」に出品されていたことがわかりました。

 

 壬申戸籍(じんしんこせき)は、明治4年の戸籍法に基づいて、翌明治5年に編製された戸籍をいいます。明治5年式戸籍ともいいます。

 

  明治19年に統一書式を用いた戸籍(明治19年式戸籍)に改製されています。いつ、戸籍が改製されたかは地方自治体により異なります。

 明治31年の戸籍法改正で壬申戸籍は改製原戸籍として扱われるようになり、この改製原戸籍(壬申戸籍)は、保存期間が終了したため、多くが廃棄処分されたといわれていますが、保存期間が終了したからといって、すべて一律廃棄されたわけではなく、地方公共団体によっては、閲覧が可能になっていました。

 

 壬申戸籍は、「華族」「士族」「平民」他といった当時の身分が記載されていますから、法務省は、昭和43年の通達で、壬申戸籍を閲覧対象外にするとともに封印するよう指示しています。差別を助長するということですね。

 

 昭和43年以降は、他人はもちろん、たとえ自分の祖先の戸籍であっても、取得は不可能になっています。


 インターネットのオークションサイトに出品されていた「壬申戸籍とされる文書をめぐっては、145年前の戸籍の記載であっても個人情報にあたるなどとして、法務省が画像削除を要請したそうですが、ヤフーは、平成29年8月25日付で、取引中止と画像削除を要請した法務省の担当者に「削除は難しい」と伝えたそうです。

 

 「今回、指摘されている戸籍は145年前のものであり、既に個人情報ではなくなっているため」という理由です。
 顧問弁護士と相談しているでしょうし、それから削除を求めて法的措置がとられたとのニュースは聞きません。

 

 これに対し、法務省の担当者は「戸籍に記載されている人はおそらく生存していないので、ただちに生存者の個人情報とはいえない」とした上で、「記載された人の子孫が画像を見てどう思うかを考えれば、やはりプライバシー上の問題がある」と人権上の配慮に理解を呼びかけるにとどまっています。

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