2018年バックナンバー
雑記帳
ラテン語
民事法の大原則をご存じでしょうか。
「pacta sunt servanda」つまり「合意は拘束する」「合意は守られなければならない」ということです。
民法などには記載されていません。「自明」の事と考えられています。 例外は、強行規定(en:jus cogens)に反する場合だけです。
シェークスピアが、ベニスの商人という小説を書いています。
裁判官のポーシャは「肉は切り取っても良いが、契約書にない血を1滴でも流せば、契約違反として全財産を没収する」と判決しました。
今なら「強行規定」違反である「公序良俗違反」で、当該部部だけを無効にすればよかったんでしょうね。当時から、規定はあったと思います。
シェークスピアは、あえて大衆向き、つまり、ポーシャの「機転」を強調するために書いたのかも知れません。
では、刑事の大原則は何でしょう。
「in dubio pro reo」つまり「疑わしきは罰せず」で、刑事訴訟における重要な原則を表したものです。「疑わしきは被告人の利益に」とも言います。
これは、明記されています。
刑事訴訟法36条「被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない」とされています。
これは、判決宣告の時だけではなく「無罪の推定」として、身柄拘束の際も、有罪判決が確定したときと、有罪判決が確定していないときと大きな違いがあります
ちなみに、私がドイツに留学した最初のころ、語学学校の先生が「知っているラテン語を言ってください」という質問をしたので、「pacta sunt servanda」「in dubio pro reo」の2つだけと答えると、「さすが裁判官」と妙な感心をされました。
日本の法律は、戦前は、ドイツ(プロイセン)、フランスなどから、戦後は、アメリカからの「輸入」が多いですね。大陸法の源流はローマ法です。
ちなみに、 日本のお隣に、「pacta sunt servanda」も知らない国がありますね。