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2018年バックナンバー

雑記帳

在米日系企業による輸出と雇用創出

 アメリカが安全保障を理由に決めた鉄鋼とアルミ製品への関税の適用が、一部の国を除いて平成30年3月23日に始まりました。ただ、ただちに、関税が上がるわけではありません。

 

 アメリカは欧州連合(EU)や、カナダ、メキシコ韓国、豪州、アルゼンチン、ブラジルなどは暫定的に対象から外しましたが、日本や中国には適用されました。

 アメリカの鉄鋼輸入先の上位4カ国を含む全体の輸入量の大半が除外され、また、日本はアメリカの輸入量7位でシェアは5%にとどまります。

 

 トランプ大統領は、鉄鋼関税を交渉材料に通商面などで譲歩を引き出す姿勢で、日本にも圧力が強まりそうです。

 

 どの程度、日本はアメリカに輸出しているのでしょうか

 

 アメリカ商務省が平成30年2月7日発表した2016年の貿易統計(通関ベース)によりますと、平成29年に「モノ」の貿易での対日赤字は689億ドル(約7兆7000億円)と全体の9%です。日本は、相手国別では3年ぶりに中国に次ぐ2位に浮上しました。中国は3470億ドルと全体の47%を占めています。

 

 アメリカの日本からの自動車関連の貿易赤字は前年速報値(489億ドル)から大幅に増え、対日貿易赤字全体の8割弱の規模となっています。

 日本メーカーは北米生産にシフトしていますが、日本製造の自動車の対米輸出は高級車が中心で(庶民的自動車はアメリカ生産。職人技の必要な高級自動車は日本生産)、単価上昇が貿易赤字拡大の要因となっています。

 

 ちなみに、アメリカの「モノ」の貿易赤字は全体で7343億ドルです。
 アメリカの国際収支ベースでみたサービス収支は2478億ドルの大幅な黒字で、「モノ」と「サービス」を合わせた収支は5023億ドルの赤字にとどまっています。


 逆に、在米日系企業がアメリカの輸出について、どれだけ貢献しているでしょうか。

 

 在米日系企業による雇用創出は70万人を超える
 

 アメリカ商務省は、アメリカでの外資系企業の活動について、最新となる平成24年のデータを、23年11月末に発表しました。

 

 外国企業が株式の過半数を所有する子会社を対象としています。

 

 各国企業の拠点がアメリカから行った輸出額は3340億ドルとなり、全体の21.6%を占めます。

 

 企業の国籍別で比べると、日本は676億ドルで、もちろんトップに位置します。

 アメリカの輸出全体に占めるシェアは4.4%となります。

 

 在米日系企業による雇用創出は、インディアナ州、イリノイ州、テキサス州などで、雇用増がけん引する形で70万人を超えています。 

 

 平成29年のアメリカの対日赤字は689億ドルで、時期は平成24年と古いですが、日系企業のアメリカからの輸出分は676億ドルですから、平成29年のデータを比較すると、日系企業のアメリカからの輸出分は、アメリカの対日赤字は、ほぼ対等か、若干多いことになります。

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