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2018年バックナンバー

雑記帳

同一労働・同一賃金

 同一労働・同一賃金に向かう方向で世の中が動いています。

 その傾向は望ましいでしょう。

 

 もとより、雇用者が従業員に支払える賃金に限度がありますから、賃金総額が変わらなければ、正規社員の賃金を下げ、非正規社員の賃金を下げることになります。
 私も、雇用者ですから、当然のことと思います。

 

 日本郵政グループが、正規社員と非正規社員の待遇差の改善を求める労働組合との協議の中で、一部正規社員を対象とした住居手当の廃止を打出しました。

 

 日本郵政グループは日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4社からなります。

 

 廃止対象は、原則として転居を伴う転勤のない条件の正規社員(約2万人)のうち、住居手当を受け取っている約5000人です。

 

 毎月の支給額は借家で最大2万7000円、持ち家は購入から5年間に限り6200円から7200円で、廃止で年間最大32万4000円の減収になります。

 

 廃止のきっかけは、民間の単一労組で国内最大となる日本郵政グループ労働組合(JP労組、組合員数約24万人)の平成30年春闘での要求でした。

 

 日本郵政グループの社員の半分ほどは非正規社員です。

 

 非正規社員の待遇改善を図る同一労働同一賃金の機運が高まっているとして、正規社員だけに認められている扶養手当や住居手当など5つの手当を非正規社員にも支給するよう求めました。

 

 日本郵政グループは、正規社員のうち約5000人の住居手当を、平成30年10月に廃止することにしました。廃止後も10年間は一部を支給する経過措置を設けることで折合いました。

 

 この手当は正規社員にだけ支給されていて、非正規社員との待遇格差が縮まることになり、「同一労働同一賃金」となります。

 

 住居手当だけではありません。

 

 正規社員にだけ支給されている年末年始手当については非正規社員への支給を認めました。
 正規社員にだけ支給されている寒冷地手当や、正規社員にだけ支給されている遠隔地手当の削減をきめました。

 

  正規社員にだけ支給されている扶養手当は継続交渉となりました。

 

 正規社員の間に「同一労働同一賃金」は待遇の悪化を招くとの危機感が広がれば、非正規社員との待遇改善に向けた動きに水を差すことになります。

 

 もともと、「正規社員」と「非正規社員」は、会社から見れば、基本的に、ゼロサムゲームの関係にあります。
 

  「非正規社員」が利得をすれば「正規社員」が損をして、「正規社員」が利得をすれば「非正規社員」が損をするという関係にあります。

 

 同一労働同一賃金は、現政権が今国会の最重要法案とする働き方改革関連法案に柱の一つとして盛り込まれています。

 厚生労働省のガイドライン案では、正規社員にだけ支給されるケースも多い通勤手当や食事手当といった各種手当の待遇差は認めないとしています。

 

 非正規社員の身分の安定がないということを考えますと、正規社員の賃金を、非正規社員の賃金より少なくしても、釣合うのかも知れません。

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