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2018年バックナンバー

雑記帳

財務省が年金支給68歳開始案=高齢化対策で審議会に提示

 平成30年4月11日、財務省は、厚生年金の支給開始年齢を68歳に引き上げる案を財政制度等審議会(財務大臣の諮問機関)の財政制度分科会に示しました。

 

 少子高齢化による年金財政悪化に歯止めをかけるのが狙いで、今後の改革論議に反映させる予定です。

 

 詳しくは「厚生労働省・支給開始年齢について」をご覧下さい。
 

 年金の支給開始年齢の引上げに関する沿革概略を抜粋します。あくまで概略です。

 

1 国民年金について
(1) 国民年金(基礎年金)は、昭和36(1961)年に施行されました。「国民皆年金」体制のスタートです。
(2) 制度発足当初より年金支給年齢は65歳で、現在にいたっています。
(3) 60歳から繰上げ支給もできますし、現在、70歳まで繰下げ支給も可能です。

 

2 厚生年金(共済年金)について

(1) 厚生年金は、原型が、昭和17(1942)年に制定され、昭和29(1954)年に全面改正され、現実に老齢給付が開始されました。

(2) 制度発足当初は55歳でしたが、累次の改正により65歳に向けて、徐々に引き上げられてきました。主なものは以下のとおりです。
 a 昭和29(1954)年改正で、男子の支給開始年齢55歳を60歳に引きあげが決定されました。4年に1歳ずつ遅らせるという方式で、昭和32年から16年かけて引上げられ、昭和48年から60歳にしました。
 現在の厚生年金受給者は、ほぼ、60歳から受給しています。
 b 平成12(2000)年改正で、男性の老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢について、特別支給という形で支払われることになりました。2年に1歳ずつ遅らせるという方式で、平成27(2015)年から10年かけて支給年齢が引上げられている途中です。

  60歳(男性)~昭和28年4月1日生(女性)~昭和33年4月1日生
     61歳(男性)昭和28年4月2日生~昭和30年4月1日生(女性)昭和33年4月2日生~昭和35年4月1日生
  62歳(男性)昭和30年4月2日生~昭和32年4月1日生(女性)昭和35年4月2日生~昭和37年4月1日生
 63歳(男性)昭和32年4月2日生~昭和34年4月1日生(女性)昭和37年4月2日生~昭和39年4月1日生
 64歳(男性)昭和34年4月2日生~昭和36年4月1日生(女性)昭和39年4月2日生~昭和41年4月1日生

 c 昭和36年4月2日(男性)昭和41年4月2日(女性)は65歳からの受給となります。

 

 財務省は、過去にも年金支給年齢引き上げを訴えてきましたが、67~68歳が多い海外事例の紹介にとどめてきました。

 

 財務省が分科会に提出した資料で、同省は「人生100年時代」を迎える中、年金財政悪化により、給付水準低下という形で将来世代が重い負担を強いられると指摘しています。

 

 さらに、2035年以降に団塊ジュニア世代が65歳になることなどを踏まえて「それまでに支給開始年齢をさらに引き上げていくべきではないか」と主張したうえ、開始年齢を68歳と明記した上で、「支給開始年齢の引き上げによる受給水準充実」のイメージ図を提示しています。

 

 平成31春に、厚生労働省は、5年に1度実施する年金財政検証の結果を示します。

 これを基に将来の年金制度に関する議論が始まる見通しです。

 

 ただ国民の反発は避けられず、実現には曲折があるでしょうね。
 

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