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2018年バックナンバー

雑記帳

後期高齢者

 後期高齢者問題とは何でしょう。

 

 一方では、日本の国家財政がひっ迫するなかでの「国民医療費の大幅な増加」があります。

 

厚生労働省・国民医療費の状況

 

 平成27年度推計での国民医療費はおよそ42.4兆円でした。

 そのうち65歳以上の医療費は推定25.2兆円で、75歳以上の人の医療費15.2兆円です。

 後期高齢者の医療費は、総医療費の36%を占めています。「後期高齢者」層の一人当たり医療費は、現役世代のおよそ5倍かかっているそうです。

 

 当然の話ながら、健康保険や国民健康保険などそれぞれの保険制度のなかに、「後期高齢者」層が含まれていました。

 現役世代と「後期高齢者」との負担関係がわかりにくくなっていたため、国としては、膨張する医療費の抑制がやりにくい構造になっていました。

 

 高齢化社会が今後とも急ピッチで進む見通しに変わりがない以上、安定的で持続化が可能な医療保険制度をつくらない限り、現在のシステムの部分的な手直しだけでは早晩限界がくることは間違いないでしょう。

 

 このような背景を受けて、国の医療制度改革の柱のひとつとして、この「後期高齢者」だけを対象層として独立させ、医療給付を集中管理する」という、世界的にも類を見ない新制度が、スタートせざるを得なくなったわけです。

 

 負担増は「後期高齢者」にもおよびます。

 サラリーマンなど給与所得者の扶養家族扱いとなっていて、保険料負担はゼロであった75歳以上の「後期高齢者」は、この「後期高齢者医療制度」において、今後は自分で、新たに10%の保険料を負担しなくてはならなくなりました。20%への引上げも検討されています。

 そして、ほとんどのケースでは、介護保険と同様に年金から天引きで保険料を徴収されることになるため、端的に「年金の手取り額が減る」ということになります。

 

 後期高齢者に年金から保険料を負担させ、病院にできるだけ行かないようにという施策でしょう。

 

 また、「後期高齢者」以外にも、企業で働く人たちが加入する健康保険組合も、多くの拠出を求められるようになり、その結果、保険料の引上げを決めた組合も相次いでいます。

 加入者の平均年齢が若い組合ほど大きな負担になる仕組みで、いわば、しわ寄せが「若い現役世代」にもきています。

 

 国民健康保険加入者にも負担が来ています。

 

 西宮市の例を挙げると、平成30年の上限は93万円です。

 内訳を見ると、医療58万円+後期高齢者支援19万円+介護保険16万円となっています。

 

 「後期高齢者」には「病院に行かないようにしなさい」、若い世代には「親が病院に行くから医療費がかさむ」「親の治療を少なく、場合によっては、延命策をとらずに死なせなさい」といっているのと同じです。

 

 国の財政も、ここまで追いつめられています。

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