本文へ移動

2018年バックナンバー

雑記帳

日本政府、中東で等距離外交

 河野太郎外相は、平成30年4月29日、中東ヨルダン西部マダバで、日本独自のパレスチナ和平構想「平和と繁栄の回廊」に関するイスラエル、パレスチナ、ヨルダンとの第6回閣僚級会合を開きました。

 この後、パレスチナの経済的自立を促すため、物流支援の強化を明記した議長声明を発表しました。

 

 安倍晋三首相は、平成30年5月1日午後にはパレスチナのヨルダン川西岸ラマラでアッバス自治政府議長と会談し、平成30年5月2日、エルサレムでイスラエルのネタニヤフ首相と、それぞれ会談し、「等距離外交」を展開しました。

 

 首相はアッバス自治政府議長に、在イスラエル日本大使館を「エルサレムに移転するつもりはない」と直接伝え、新たに1000万ドルの食糧支援を行う方針を表明しました。

 中東和平に関し「米国の役割が不可欠だ。米国から提案があれば、交渉のテーブルにつくことが重要だ」と強調し、アッバス氏は「了解している」と応じました。

 

 首相は、ネタニヤフ首相に、イスラエルとパレスチナが共存する「2国家解決」支持の立場を改めて述べ、イスラエル側の入植を自制するよう求めました。

 パレスチナの経済的自立を促すため日本が主導する「平和と繁栄の回廊」構想への協力継続も求めました。

 両首脳はイスラエルが得意とするサイバー分野で連携を強化することを確認しました。

 

 日本が、等距離外交を展開できるのは、先進国のうちで唯一、中東に「手を汚していない国」だからです。

 

 イギリスやとフランスは、現在、中東において、イスラエルとアラブ諸国が対立し、いつまた戦争になるかわからないという状態にした、いわば張本人です。

 ドイツは、ホロコーストもあり、イスラエル寄りにならざるを得ません。といいながら、シリアなどの難民を受け入れるなどもしています。しかし、イスラエルの手前、アラブ諸国やパレスチナに援助はできません。

 

 結局、アメリカがイスラエルとアラブ諸国の仲介をしていたのですが、トランプ政権になって、イスラエルの首都を、エルサレムに移転することを承認するなど、イスラエルべったりとなったからです。

 

 日本は、幸か不幸か、第一次世界大戦前後に、自国の利権のために策謀を巡らせるというような余裕はありませんでしたし、第二次世界大戦後に、イスラエル建国の際には、自国が占領されていて主権すらなく、手も足も出ませんでした。

 

 ただ、日本は、第二次世界大戦後、中東の石油の大得意でありながら、口出しをしないままでいましたが、アメリカべったりという印象があるのも事実です。

 かつては、アラブ外交ならぬ、アブラ外交とも揶揄されました。

 

 ただ、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定してからは、アメリカとの距離を置くようになってきています。

 

 日本は、利権や損得なしで、中東和平の橋渡しとして当事者間の対話への機運を高めたい考えで、日本が積極的に貢献する考えを双方に伝えました。

 

 理由は簡単です。

 

 日本としては、中東での紛争にアメリカが深くかかわり、北朝鮮の紛争に力をさく余裕がなくなるのを恐れています。

TOPへ戻る