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2018年バックナンバー

雑記帳

親告罪

 平成30年4月25日、ジャニーズ・TOKIOの山口達也容疑者が、平成30年2月に自宅のマンションの部屋で女子高生に無理矢理キスをするなどして、強制わいせつの疑いで警視庁に書類送検されたと報じられました。

 

 無期限謹慎だそうですが、ほとぼりのさめたころに、活動開始という意図が見え隠れしています。

 

 なお、平成29年の刑法改正がなければ、山口達也容疑者は、書類送検されず、公にならなかった可能性があります。

 

 平成29年の刑法改正まで、強姦罪や強制わいせつ罪は、被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪でした。

 

 親告罪とされる罪は、概略2つに分けられます。

 

 1つは、強姦罪や強制わいせつ罪、また、名誉毀損罪のように、刑事訴追がなされ、審理が進むことにより、被害者が二次的被害をこうむる恐れがある犯罪です。

 

 強姦罪などは、被告人の公判により、被害者が、根掘り葉掘り尋問されるなどして、セカンド・レイプというべきことになりかねませんから、被害者が、告訴をしなければ刑事訴追をされないという親告罪と規定されていました。
 ただ、強姦致傷罪や輪姦の場合は親告罪ではありません。
 秩序維持が、被害者の医師に優先されるということになります。

 

 もう1つは、器物損壊罪や親書開封罪などのように軽微な犯罪です。

 被害者が告訴をしないのであれば、わざわざ、刑事訴追をしないということですね。

 

 改正前の刑法では、強制わいせつ及び準強制わいせつの罪、強姦及び準強姦の罪は、被害者の告訴がなければ起訴できませんでしたが、「強制わいせつ及び準強制わいせつの罪」、名称を変更する「強制性交等及び準強制性交等の罪」、そして、新設された「監護者わいせつ及び監護者性交等の罪」については、被害者の告訴がなくても起訴できるように改め、親告罪の規定を削除することにしました。
 平成29年7月13日から施行されています。

 

 山口達也容疑者の場合は、被害者との示談があったとされています。

 

 刑法改正前なら、強制わいせつ罪は親告罪でしたから、示談が成立するなどして、被害者が告訴を取消すと、起訴することができません。

 示談が成立していれば、最初から、逮捕する必要はありませんし、書類送検もする必要はありません。

 

 捜査は秘密ですから、闇から闇へほうむられていたかもしれません。

 

 刑法が改正され、強制わいせつ罪が親告罪でなくなりましたから、示談が成立するなどして、被害者が告訴を取消しても、起訴することができまます。

 

 起訴するかどうかは検察官が決めますから、書類送検して、検察官が、示談が成立しても態様悪質として起訴することができますし、あるいは、示談が成立しているから起訴猶予処分にすることもできます。
 現実に、平成30年5月1日、起訴猶予処分にとなりましたね。

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