本文へ移動

2018年バックナンバー

雑記帳

落書き

 フィレンツェの「ドゥオーモ」への日本人の落書きが。大きな話題になったことがあります。

 正式名称は「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」だそうです。

 通常は、単に「ドゥオーモ」(大聖堂)と呼ばれています。

 ちゃんと名前があったんですね。

 なお、「ドゥオーモ」(大聖堂)は一般名詞で、ミラノのものが有名ですが、ピサの斜塔横の「ドゥオーモ」は斜塔に負けず劣らず立派なものです。

 

 フィレンツェの「ドゥオーモ」は、ウフィッツィー美術館などと並んで、最大の観光名所です。

 

 「なんぼなんでも、日本語で自分の名前や学校名・職場名を書いたらばれるやろ」と考えるのですが、正直に自分の名前を書いてしまうようです。

 基本的に罪の意識がないのでしょうか。

 

 イタリアの刑法は知りませんが、日本ならどうなるかと考えてみました。

 「平成18年1月17日・最高裁判所決定」によれば、公園内の公衆便所の外壁にラッカースプレーでペンキを吹き付け「反戦」等と大書した行為が刑法260条前段にいう建造物の「損壊」に当たるとされています。

 

 「ドゥオーモ」の壁は建造物ですから、器物損壊にはなりません。

 

 もっとも、木や金属を掘ったのでなければ、懲役3年以上の建造物損壊罪の適用は大げさでしょう。

 軽犯罪法1項33号の「みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁礼その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者」として科料(執行猶予がなく、身柄拘束のある拘留はないでしょう)で終わりでしょうね。

 

  かつて話題になった、新幹線に落書きをして運行できなくしたのは、器物損壊は間違いなく、業務妨害が加わるかも知れません。形式上は建造物より軽い罰条ですが、言渡される刑は、間違いなく実刑でしょう。

 おまけに民事訴訟で、目の玉の飛び出すような金額を請求され、支払わなければ裁判提起をされるでしょうね。

 

 建造物や器物でなければどうでしょう。

 和歌山県の白浜の千畳敷に、多くの文字が彫られています。
 昔は、日本語だけだったのですが、ハングルや簡体漢字も見られるようになれました。
 刑法や軽犯罪法の出る幕ではなさそうです。
 普通の法律家にはなじみのない特別法や条例があるのかも知れません。

TOPへ戻る