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2018年バックナンバー

雑記帳

米鉄鋼輸入制限の適用除外「1万トンが日本製と推計」

 アメリカのトランプ大統領は、平成30年3月初め、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税が課す大統領令に署名しました。

 

 米商務省は、平成30年3月に発動した鉄鋼輸入制限で、製品別の除外を米企業から受け付け審査しています。

 

 平成30年6月20日に第1弾として日本や中国、ドイツなど5カ国から輸入する一部の製品を適用除外にすると発表しました。

 

 製品別除外は外国製品に頼らざるを得ない製品が対象で、今後の審査で除外がさらに増える見込みです。

 例えば、日本の鉄鋼製品で、アメリカで製造不可能なもの(経済的にペイしないものふくむ)については、関税をかけても、アメリカのメーカーを守れないばかりか、アメリカの製造業者は、関税のかかった日本の鉄鋼製品を買わざるを得ないということになりますから、アメリカにとって、百害あって一利なしということになります。

 

 世耕弘成経済産業相は、平成30年6月22日の閣議後の記者会見で、トランプ米政権が発表した鉄鋼輸入制限の適用除外製品の3分の2にあたる約1万トンが日本製と推計されることを明らかにしました。

 

 日本の輸出している鉄鋼・アルミニウムは、製品は、高性能・高品質なもので代替が難しいということを裏付けたことになります。

 

 また、世耕大臣は「国別除外も当然されるべき」とも述べ、製品別除外の申請手続きと並行して、国別の適用除外を米国に働きかける考えを改めて示した。


アメリカの鋼材とアルミニウムの輸入関税

 

 アメリカのトランプ大統領は、平成30年3月初め、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税が課す大統領令に署名しました。

 

 米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は、平成30年2月22日、翌23日から導入される鉄鋼とアルミニウムの輸入品に対する追加関税について、EU加盟国のほか、韓国、カナダ、メキシコ、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンを除外する方針を明らかにしました。

 

 平成29年のアメリカの鉄鋼輸入高は330億ドル(3兆4600億円)でした。ここから、すでに除外すると明らかにされていたカナダやメキシコを含め除外された国々を差引くと、関税が適用されるのは全体の3分の1以下になります。

 

 これにより、関税が経済に与えるかもしれない影響だけでなく、アメリカ内の鉄鋼業が得る可能性がある好影響さえも弱まります。

 

  ただ、日本が除外されていません。

 

 しかし、日本は落ち着いているように見えます。
 もしかしたら、落ち着いているように見えるだけなのかも知れません。

 

 このうち、今回の措置の対象となるアメリカへの鉄鋼とアルミニウムの輸出額は、昨年20億ドル(アメリカへの総輸出額は632億ドル。日本の年間総輸出額は7783億ドル)ですから、さしたる数字ではありません。

 

 また、日本の輸出している鉄鋼・アルミニウムは、製品は、高性能・高品質なもので代替が難しく、除外されなくても、需要はあります。

 

 自動車産業についてみてみます。

 

 日本の自動車産業はアメリカ輸出が驚くほど少なく、マツダのみ突出して輸出比率が高いものの、ホンダなど5%前後にすぎません。

 

 アメリカで販売されているホンダ車100台のうち、日本からの輸出は5台ということになります。
  日産、トヨタも大半を現地生産しています。

 

 アメリカで生産されている自動車につかわれている鉄鋼やアルミニウムの、アメリカでの現地調達率は限りなく100%に近いそうです。

 

 現地調達分について、中国産の鉄鋼やアルミニウムに関税がかかれば、他の国の鉄鋼やアルミニウムを購入すればよいことになります。

 

 といっても、中国産の鉄鋼やアルミニウムに関税がかかれば、鉄鋼やアルミニウムの価格が高騰することは間違いなさそうです。

 

 ただ、それは、アメリカやヨーロッパの自動車業界も同じことです。

 

 何か、不思議なくらい騒ぎになっていないのは、日本にさほど影響がないだけかも知れません。

 

 除外を求めて、その見返りとして、他の点、たとえば農産品で譲歩したのでは話になりません。
  日本は、安易に妥協するのではなく、筋論をとおして、関税は甘んじ、他は拒絶するという方針でよいかと思います。

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