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2018年バックナンバー

雑記帳

働く高齢者の年金減額縮小へ・就労継続を後押し

 政府は、平成30年5月24日までに、一定の収入がある高齢者の年金を減らす在職老齢年金制度を見直す方針を固めました。

 

 安倍晋三首相は「65歳以上を一律で高齢者とみるのはもはや現実的でない」と指摘し、潜在成長力の向上に向けて、65歳以上の就労環境の整備を検討するよう加藤勝信厚労相らに指示していました。

 

 厚労省の社会保障審議会などで議論を重ね、2020年度に法改正する段取りを描いています。

 

 具体的には、将来的な廃止も視野に高所得者の年金減額の縮小を検討するということです。

 

 少子高齢化の進展で生産年齢人口の急激な減少が見込まれており、高齢者の就労意欲をそぐ同制度はふさわしくないと判断したということになります。

 

 在職老齢年金は平成40年に導入された制度で、給与所得者として働いていても、厚生年金を受け取ることができます。

 

 国は年金を支給する代わりに保険料を負担する現役世代に配慮し、高齢者の給与と年金の合計額が一定の水準を超えると、厚生年金の一部を減額・支給停止します。

 

 対象は60歳~65歳未満が月28万円、65歳以上は46万円を超える人が対象となります。

 

 支給停止の対象者は現在、約126万人にのぼり、計1兆円程度の年金が支給されずにとどまっています。

 

 しかし、受取る年金が減らないように意図的に働く時間を短くする高齢者もいるため「就労意欲をそいでいる」との批判がありました。

 

 安倍晋三首相は「65歳以上を一律で高齢者とみるのはもはや現実的でない」と指摘。潜在成長力の向上に向けて、65歳以上の就労環境の整備を検討するよう加藤勝信厚労相らに指示していた。厚労省の社会保障審議会などで議論を重ね、20年度に法改正する段取りを描いています。

 

 政府が在職老齢年金の大幅な見直しに着手するのは、少子高齢化に伴う人手不足が経済成長を抑える構造問題になってきたためです。

 

 平成29年度の失業率は2.7%と、実質「完全雇用」状態で、余剰の労働力が乏しくなっています。

 

 主な働き手である15歳~64歳の生産年齢人口も減っていきます。

 

 国立社会保障・人口問題研究所は生産年齢人口が、平成27年の7728万人から50年後に4529万人に低下すると推計されています。

 

 政府は年金の受給開始年齢を70歳超も選べるようにする制度改正を決めています。公的年金は受給を開始する時期を遅らせるほど、毎月の年金額が増える仕組みだ。いまは1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ増える。現行制度のまま75歳まで遅らせれば84%増額するため、高齢者の就労促進に結びつくとみています。

 

 ですが、在職老齢年金の減額や支給停止の対象となってしまうと、繰下げ制度を使う意味が薄まります。

 

 在職老齢年金を廃止すれば、65歳以上に限っても合計で約3000億円の年金が高齢者に支払われることになります。

 

 年金の支払額は増えても働く高齢者が増えれば人手不足が緩和され、経済にプラスの効果が働くとみているようです。

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