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2018年バックナンバー

雑記帳

確定拠出年金、65歳まで加入延長を検討

 厚生労働省は、平成30年8月、運用成果によって年金額が変わる確定拠出年金について、掛金を払い込める期間を延ばす方向で検討に入りました。

 

 上限を60歳から65歳に上げる案が軸となります。

 現在は、確定拠出年金に加入できる期間が20歳から60歳になっています。

 

 

 期間が延びれば、老後に受け取る年金は増えます。60歳を超えても働く人が増えているため私的年金の仕組みを充実させ、先細りする公的年金を補うという意味合いがあります。

 

 厚生年金は、現在、受給開始年齢を、段階的に65歳まで引き上げています。昭和36年4月2日以降生まれの男性から63歳になります。

 

 このため政府は高年齢者雇用安定法で、65歳まではすべての希望者を雇用することを企業に義務付けました。

 

 確定拠出年金は働いて得る収入で掛金を出すことを前提にしています。

 

 就業率の推移などを踏まえて2022年度までに結論を出し、確定拠出年金法の改正案を国会に提出する予定です。

 

 確定拠出年金は個人が定期預金や保険、投資信託などから運用手段を選びます。

 

 掛金を上回るかどうかは、運用がうまくいくかどうかにかかっています。

 

 なお、掛金は全額が所得控除の対象となります。

 

 運用益は非課税で、受取時にも年金に類似の税制優遇があります。

 

 

 なお、確定拠出年金は、企業型と個人型があり、厚生労働省は個人型の加入期間を65歳まで引き上げることを検討することになります。

 

 企業型の加入者は680万人、個人型は94万人で近く100万人を超えています。

 

 掛金の上限は自営業者などで月6.8万円、会社員は月2.3万円です。

 

 加入期間が5年延びれば、会社員の場合で最大138万円掛金を多く出せるということですね。

 

 公的年金の実質的な支給水準(所得代替率)は、平成26年時点で62.7%でした。

 将来は50%程度まで下がる見通しとされています。

 

 現実には、50%どころか、30%~40%になると考えるのが常識的です。

 

 なお、高額所得者は注意してください。

 

 例えば、20歳で基礎年金を掛けはじめ、22歳の時司法修習生になり、日本で最高の給与(報酬)を受けている最高裁判所長官を定年退職した方は、50年間基礎年金、48年間国家公務員共済年金を掛け続けていますが、年金は、年額400万円にもなりません。

 

 高額所得者でも、標準報酬月額の上限は62万円であり、実際の報酬の金額がこれを上回る場合であっても、標準報酬月額は上限額の62万円として登録されるからです。

 

 また、賞与については、昔は控除されませんでしたが、現在は、支給1回につき、150万円が上限となります。

 

 

 なお、確定拠出年金の加入年齢引上げには課題もあります。

 

 期間を延ばすと税の優遇が長くなるため、政府内での調整が難航する可能性はあります。

 

 国民基礎年金や厚生年金は、現在の老人世代への仕送りにもちいられますから、多少、税金のとりはぐれには目をつぶってもいいのですが、確定拠出年金は、拠出者のものですから、税金がとりはぐれるだけとなります。

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