本文へ移動

2018年バックナンバー

雑記帳

朝鮮半島出身の労働者の判決に基づく強制執行

 韓国の大審院の朝鮮半島出身の労働者の判決に基づき、原告らの代理人は、平成30年12月24日午後5時を期限に、日本企業の資産の差し押さえ手続きに入る意向を示しています。

 

 ムンジェイン大統領が、強制執行を認めるか認めないかという議論を見ることがあります。

 

 あまり意味はありません。

 

 裁判所は、債権者の申立に基づき、債務名義(債権者に執行機関〈執行裁判所又は執行官〉の強制執行によって実現されるべき債権の存在および範囲を公的に証明した文書。確定判決、仮執行宣言の付された判決、和解調書、調停調書など。外国判決は当該国裁判所の証人が必要)があれば、債務名義が債務者に送達されているかどうかを確認し、差押さえるべき財産が差押さえができる財産かどうか(差押さえが禁止されている財産に該当するかどうか、差押さえるべき財産が特定されているかなど)を審査をするだけで、機械的に、強制執行をします。

 

 裁判所に裁量の余地などありません。

 

 本件の場合、確定判決ですから、強制執行はできます。
 債権者の強制執行の申立があれば、裁判所は強制執行します。

 

 大統領が承認するかどうか考えるのは無意味です。
 大統領が考えるのは、強制執行できなくする法律を制定するよう、国会に働きかけるかどうかです。
 それがなされないということですから、強制執行はなされることになります。

 
 また、判決宣告のように、公開されることはありません。
 債権差押さえであれば、まず、第三債務者に対して差押さえ決定が送達され、第三債務者に送達されたことを確認して、債務者に送達します。
 
 債務者に差押さえ決定が送達された時点で、債務者に、何を差押さえられたかわかる仕組みです。
 
TOPへ戻る