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2019年バックナンバー

雑記帳

「搭乗しなかった」客をルフトハンザが訴えた理由

 ルフトハンザ・ドイツ航空が個人の男性客を訴えました。
 
 この男性は2016年4月にオスロ(ノルウェー)→フランクフルト(ドイツ)→シアトル(アメリカ)→フランクフルト(ドイツ)→オスロ(ノルウェー)のビジネスクラスの航空券を657ユーロ(約8万2000円)で購入していました。
 
 そして、オスロ→フランクフルト→シアトル→フランクフルトと飛んだ後、最後の1区間であるフランクフルト→オスロで搭乗せずに、別の航空券を購入してフランクフルトからベルリンまで飛んだそうです。
 
 ルフトハンザは、最終区間に搭乗しなかった男性の行為が、同社の利用規約に反するとして、購入金額の3倍以上にあたる2112ユーロ(約25万円)に利息を加えた額の損害賠償を請求しました。
 
 2018年12月、ベルリンの地方裁判所は同社の訴えを退けたが、ルフトハンザ ドイツ航空はこれを不服として控訴しています。
 
 飛行機を最終目的地まで乗らずに済まし、航空券を途中で放棄する行為を日本語では俗に「飛び降り」、英語では「Hidden city」や「Skiplagging」と呼ばれます。
 鉄道やバスに乗る場合、原則的には途中の駅やバス停で乗客が降りてしまってもその後の利用する権利を放棄してしまえば(下車前途無効)、客がとがめられることはありません。
 
 ところが航空会社の多くはこうした行為を規約上で禁止しています。
 
 ただし、世の中の多くの規約同様、そう定められているからといってそれを杓子定規に適用するわけではありません。
 
 事実上、こうした「飛び降り」に対して客に直接ペナルティを課すケースはまず見られませんでした。
 
 航空券の放棄にはどのような種類があるのでしょうか。
1 往復で乗継ぎを伴う航空券を購入し、復路の途中で放棄する
2 往復の航空券を購入し、復路を放棄する
 このうち、ルフトハンザのケースは1に該当します。
 
 2は復路放棄と呼ばれ、かつては日本でもよく話題になっていました。
 これは日本発の片道の運賃よりも、往復の航空券の運賃のほうがはるかに安いため、意図的に往復航空券を購入するというものでした。
 
 確かに、往復運賃より片道運賃が高いということはよくありました。
 復路放棄常習者は、ブラックリストにのせられ、発券拒否をくらうこともありました。
 
 ただ、LCCは通常片道いくらです。往復は、往路いくら、復路いくらです。
 また、全日空、日航、ルフトハンザなどでも、往復の計算をするとき、往路いくら、復路いくら、合計いくらという計算にになってきています。
 
 なぜ航空会社はペナルティを科そうとするのでしょうか
 
 「フランクフルト→シアトル→フランクフルト」より「オスロ→フランクフルト→シアトル→フランクフルト→オスロ」が安いからです。
 
 北欧の直行便の飛行機料金、つまり、スカンジナビア航空やフィンエアーのアメリカ往復の運賃より安いからです。
 
 もともと安いのが1つ、乗継ぎだから安くしないと売れないということです。
 
 ただ、ドイツ居住の人に、いいとこ取りで使われたらたまったものではないということです。
 もちろん、ちゃんとしたルートで利用してくれればいいですが、一部だけを使われるとかないません。
 
 通常なら、規約違反として、ルフトハンザのマイレージプログラムであるmiles and moreの上級会員資格を取消したり、他に貯めた分も含めてマイルの没収などの方法をとります。
 
 そうできない事情があったんでしょうね。
 
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