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2019年バックナンバー

雑記帳

欧州委員長はドイツからウルズラ・フォン・デア・ライエン国防相

 欧州議会は、令和元年7月18日、令和元年11月1日に退任するジャン=クロード・ユンケル欧州委員長(ルクセンブルク)の後任に、ドイツのウルズラ・フォン・デア・ライエン国防相(60)を充てる人事案を、賛成383票、反対327票の僅差で承認しました。
 
 初の女性欧州委員長が誕生することになります。
 
 欧州委員会はEUで適用される法律の提案権を握る行政機関で、そのトップである委員長はEUを代表する顔ともいえる存在です。
 
 EUの中で最も地位の高い政治家といえるでしょう。
 
 ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏は、ドイツの政治に詳しくない人にはなじみのない政治家かもしれません。
 
 元々、父親がニーダーザクセン州首相(CDU)でした。
 本人は、昭和33年(1958年)にブリュッセルに生まれ(ベルギーで生まれただけで生粋のドイツ人です)、ドイツの大学で経済学と医学を修め、医師として活躍していました。
 還暦ですね。
 
 2003年、ハノーファーが州都のニーダーザクセン州議会選に当選し、同州政府の社会・女性・家族・衛生相に抜擢されて、メディアの注目を集めました。
  7人の子供の母親です。
 
 2005年、第1次メルケル内閣に家族・高齢者・婦人・青少年相として入閣しますが、当時は、連邦議会議員ではありませんでした。
 
 2009年に実施されたドイツ連邦議会選挙において、地元であるニーダーザクセン州の比例代表リストから当選してドイツ連邦議会議員に初当選し、第2次メルケル内閣では、家族相(保健分野は他の大臣に移管)として留任します。
 
 2013年に発足した第3次メルケル内閣では、ドイツでは初となる女性の国防大臣に就任し、2018年に発足した(連邦議会議員選挙は2017年)第4次メルケル内閣でも国防大臣に留任しています。 
 
 妥協型のメルケル連邦首相と対立し、第4次メルケル内閣では閣外に放り出されるという話もあったのですが、国防大臣に留任しました。また、CDU副党首もつとめていました。
 
 このことから、逆に「メルケル首相による事実上の後継指名」ともいわれましたが、メルケル首相がCDU党首を辞任するにあたり、腹心のアンネグレート・クランプ=カレンバウアーCDU幹事長が党首になりました。
 
 もっとも、次回の連邦議会選挙でCDU/CSUが勝利できるという保証もありませんし、また、連立を組むSPDの連立離脱により、内閣瓦解という可能性もあります。
 メルケル首相の健康不安もありますし。
 
 ウルズラ・フォン・デア・ライエン氏としては、欧州委員長に転身できて丸儲けということになりますが、その選出過程は不明確で、本来候補としてあがってもないなかった政治家が、メルケル首相とマクロン大統領の密室政治で選出されたと、あまり評判はよくありません。
 
 また、賛成383票、反対327票の僅差ということもあり、少し、心細い船出となります。
 
 英国のEU脱退、対米関係のあつれきなど課題は多いのですが、穏健中道右派として活躍してほしいものです。
 
 フォンデアライエン氏の委員長就任で空席になった国防相は、「ミニ・メルケル」と呼ばれる、キリスト民主同盟党首のアンネグレート・クランプ=カレンバウアー党首(57)が就任しています。
 
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