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2019年バックナンバー

雑記帳

弁護士の登録抹消

 日本弁護士連合会の発行する機関誌に「自由と正義」という本があります。
 
 熱心に読む人は読むのでしょうが、私の知合いの弁護士さんに限っていえば、「弁護士懲戒処分」欄の愛読者が多いと思います。
 「他山の石」と考える人もあれば「明日は我が身」と考える人もあるでしょう。
 
 最近の傾向として「登録取消者」欄の「愛読者」も増えているようです。
 弁護士の登録取消の理由としては「死亡」「請求」「17条3号」があります。
 
 「死亡」はわかりますね。例えば、私が、今日帰り道で車にはねられ死亡したら「死亡」による「登録取消」と記載されます。
 
 「法17条3号」は、除名・退会命令による強制的「登録取消」です。「法」は弁護士法です。
 
 「請求」は、弁護士からの任意の申出による「登録取消」です。
 
 前向きな「請求」による「登録取消」があります。
 例えば、裁判官任官、期限付公務員採用、留学などです。通常、理由が付記されています。
 
 老齢にともなう廃業による「登録取消」もあります。
 無事つとめることができたということを意味します。
 なお、大阪弁護士会では、77歳になれば会費が免除されます。77歳になれば、あえて、登録抹消をする動機がなくなります。
 
 それ以外は、重篤な病気、経営が成立たないことによる廃業が考えられます。
 
 弁護士会費は、大阪弁護士会の場合年間40万円くらいかかります。
 支払わなければ、最終的に除名となります。
 
 「登録取消」を、調べている弁護士さんがいます。
 少し古いですが、「白浜法律事務所・弁護士の廃業の増加傾向のこと」をご覧ください。
 
 自由と正義の2012年の1月号から9月号に掲載された請求退会者の合計

 1万番未満 10名
 1万番から3万番未満 83名
 3万番以上 139名
 
 登録番号10000番あたりは、弁護士一筋できた人は、修習期で言えば18期、登録年・昭和41年、最低年齢70歳となりますから、老齢による廃業や重篤な病気による廃業が多いでしょう。
 
 登録番号30000番あたりは、弁護士一筋できた人は、修習期で言えば55期、登録年・平成15年、10年もたっていないですね。
 
 登録番号30000以上の139名は多いですね。平成24年9月の「自由と正義」の最新登録者の登録番号は46140(登録抹消済みの弁護士をあわせて1万6141人)ですから、9か月で0.86%登録抹消しています。
 
 登録番号10000以上29999以下(登録抹消ずみの弁護士をあわせて2万人。年齢から考えると死亡による欠番が多そうです)の83人は、9か月で0.4%の登録抹消にすぎません。
 
  裁判官任官、期限付公務員採用、留学でなければ、多くは経営が成立たないことによる廃業でしょう。若いですから病気も少ないと思います。
 
 なお、裁判官・検察官・公証人を退官して弁護士登録をしている人は登録番号が大きくなりますが、それほど数は多くありません。
 
 いったん、弁護士登録はしたものの、経営が成立たないことにより廃業せざるを得ない人は増えているでしょう。
 
 弁護士をやめて、何で食べていくのでしょう。
 どんな気持ちでやめていくのでしょう。
 いったい何のために、弁護士資格を取ったのでしょう。
 後悔していないのでしょうか。
 
 なお、司法試験に合格して、弁護士登録の資格があるのに登録せず、一般の企業で従業員として働いている人も増えています。
 社内弁護士は、弁護士会費を支払っていますが、弁護士会費を支払いたくない人がいます。また、会社のために、自力救済など多少の無理をしても、懲戒の恐れはありません。
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