本文へ移動

2019年バックナンバー

雑記帳

在職老齢年金の廃止検討 政府・与党、高齢者の就労促す

 政府・与党は、令和元年6月9日までに、一定以上の収入のある高齢者の厚生年金支給額を減らす「在職老齢年金制度」廃止の検討に入りました。
 
 現在、在職老齢年金には支給されるはずの厚生年金が減額されるとい制度があり、高齢者の就労意欲をそいでいるとの指摘があり、高齢者の就労を後押しするには制度廃止が必要と判断しました。
 
 つまり、年金が減ることを理由に高齢者が働かなくなるのを防ぎ、引き続き保険料や税金を払う「支え手」になってもらう狙いです。
 
 夏の参院選後に社会保障審議会(厚生労働大臣の諮問機関)で具体的な議論を始め、来年の通常国会への関連法改正案の提出を目指します。
 
 現行制度を説明します。
 
 在職老齢年金制度の対象は、60歳以上で就労し一定以上の賃金を得ている厚生年金受給者です。
 
 60~64歳の給与所得者は賃金(ボーナス含む)と年金の合計額が月額28万円、65歳以上は月47万円を超えると年金支給額が減らされます。
 賃金が増えるほど減額幅は大きくなります。
 
 高齢であっても、高い給与を得ているのなら、生活はできるだろうから年金は減らすということですね。
 
 厚生労働省によりますと、在職老齢年金の対象者は平成28年度末時点で60~64歳が約88万人、65歳以上が約36万人です。
 
 これにより年約1兆1000億円の年金支出が抑制されています。
 
 厚生年金の支給開始年齢は、60歳から65歳へと段階的に引上げられている途中です。
 団塊の世代は、すべて60歳から支給されています。
 私は、過渡期に該当し、国家公務員時代(修習生・裁判官10年のとき長期共済金として天引きされています)の年金は、62歳から受給しています。
 
 男性が令和7年度、女性は令和12年度に65歳に完全移行し、約7000億円の年金支出が抑制されている60代前半の在職老齢年金制度は失効します。
 
 他方、65歳以上については、「在職老齢年金制度」を廃止すると約4000億円の財源が必要になります。
 1兆1000億円の給付増になります。
 ただ、働く高齢者が増えると、厚生年金保険料が増えます。
 
 65歳以上の在職老齢年金制度は、現役世代の負担を軽減する意味もあります。
 
 制度廃止による満額支給には「高所得者優遇」との批判もでるかもしれません。
 ただ、本来なら、高齢者が、フルタイムで働こうと思っても、年金が減らされるから、パートで働いている高齢者もいます。
 
 内閣府は、平成30年8月、在職老齢年金制度がなかった場合、フルタイムで働く60代の男性が約14万人増えるとの分析結果を公表しています。
 
 「在職老齢年金制度」廃止による満額支給には、若年者労働の雇用の減少による就職難との批判もでるかもしれません。
 
 ただ、若い人も、いずれは歳をとります。
 そのときに、恩恵が受けられる人もでるはずです。
 
TOPへ戻る