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2019年バックナンバー

雑記帳

天安門事件30年

 アメリカ国務省のオルタガス報道官は、令和元年5月30日の記者会見で、令和元年5月4日で発生から30年を迎える中国の天安門事件について「平和的に抗議活動をしていた人々に対する徹底した虐殺行為だった」と指摘し、「罪のない命が失われた痛ましい事実を忘れない」と述べました。 
 
 オルタガス氏はまた、抗議参加者や遺族らへの弾圧がいまだ続いているとし、「中国共産党による構造的なおぞましい抑圧。今日の世界で起きている悲劇の一つだ」と厳しく批判しました。 
 
 天安門事件とは、平成元年(1989年)6月4日、中国で発生した一般市民への武力弾圧事件です。
 
 中国の民主化を求める学生や労働者などなど100万人超える若者が、約1か月半にわたり天安門広場を占拠をしていましたが、平成元年6月4日に中国軍が武力行使を行い、多くの民衆を殺しました。
 
 デモは中国各他の都市や大学に拡大し、共産党による独裁体制の打倒やインフレ対策、賃金の上昇、住宅事情の改善などを求めました。
 
 平成元年6月3日夜、天安門広場に軍の戦車と部隊が出動し、翌6日朝にかけて、武器を持たないデモ参加者たちに向けて発砲し、多数を殺傷しました。
 
 中国共産党の公式発表によると、死者は学生や軍を合わせて319人とのことです。
 
 日本の新聞紙でばらつきがありました。たとえば読売新聞は「死者3000人以上」、毎日新聞は「死者2600人かそれ以上」、朝日新聞は「死者2000人、負傷者5000人以上」といった具合で、正確な数は把握しきれていません。
 
 ソ連が「死者3000人」と見積もっています。平成29年に機密指定が解除されたイギリスの外交文書によると、殺害された人数は少なくとも1万人に上ると報告されていたことが明らかになっています。
 
 中国政府ではこの事件の起こる直前から海外メディアの締め出しなど隠蔽工作に躍起になり、この事件を無かったことにしようとしたのですが、BBCやCNNなどの取材班がこの惨劇を中継し全世界へ配信しました。
 
 この事件の際に戦車の前に飛び出して走行を阻止しようとした「無名の反逆者」の映像が最も象徴的なシーンとして、現在でも語り継がれていることでも知られています。
 
 中国では、ソーシャルメディアのアカウントは本名と国民1人1人につけられた「公的身分番号」に紐づけられることが法で定められていて、当局が求めれば、企業はユーザー情報を提出する法的義務があります。
 
 中国のインターネット企業の検閲担当者らによると、平成元年の天安門事件に関連するコンテンツを検出・ブロックするツールの正確性は、機械学習や声紋・画像認識技術に支えられ、過去比類のないレベルに達しているそうです。
 
 よほど、知られたくないのですね。
 
 ドイツでは、ユダヤ人大虐殺を忘れないように、強制収容所を保存しているほか、過去の過ちを忘れないように警告する記念碑(Mahnmal)を保管しています。
 
 過去の残虐行為を「なかったものにする」というのでは、何の進歩もありません。
 
 といいながら、中国の魏鳳和国防相は、令和元年6月2日、軍による民主化運動の鎮圧は「正しい」方針だったと述べました。
 外国メディア向けです。
 
 正しいなら、中国国内でタブー視するどころか、報道規制はもちろん、個人のSNSまで規制・弾圧する根拠はないと思います。
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