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離婚

婚姻費用を支払わない場合の強制執行

 婚姻費用は、毎月末日限り支払われるべきものです。

 婚姻費用の調停が成立した直後、審判がでた直後くらいは、普通は、ちゃんと支払ってくれるものです。

 

 支払われなければ、強制執行ということになります。

 

 強制執行するとすれば、何を差押さえることになるのでしょう。

 

 預金等の金融資産が十分あれば、調停で定められた婚姻費用を支払わないということはないでしょう。離婚調停や離婚訴訟にさしつかえます。

 預金は、不払いの時点で、知っている金融機関の分は解約されたり、引き出されたりするかも知れません。

 

 不動産は、かなり強制執行が難しいです。不動産の強制競売の予納金は最低90万円+登録免許税を納付させられますし、弁護士費用も安くありません。よほど、婚姻費用が高くないと難しいでしょう。

 また、住宅ローンがついていれば、競売で安くなり、住宅ローンが先に引かれて、何も残らないことになる場合があります。最初からオーバーローン(時価よりも住宅ローンが高い)なら、無剰余(優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計に満たないとき)ですから、競売申立はできませんし、したところで取消されます。

 

 給与所得者か自営業者かで全く違います。

 給与所得者は、非正規雇用でない限り、職場をやめるということは考えにくいですから、給与の差押さえは比較的簡単です。

 

 また、1回差押さえ手続きをとれば、ずっと何もしなくても取立てできます。

 民事執行法151条には「給料その他継続的給付に係る債権に対する差押えの効力は、差押債権者の債権及び執行費用の額を限度として、差押えの後に受けるべき給付に及ぶ」と定められています。

 

 自営業者は、難しいですね。一体何を押さえたらいいのかわかりません。

 いわゆる、一人親方の場合は、請負代金を支払う元が決まっていますから、比較的簡単です。

 ですから、任意で支払ってもらえるように、多少金額面で妥協してでも調停でまとめることが肝心です。
 審判となると、任意の履行は難しくなります。


医師の場合はどうでしょう。

1 開業医の場合は、継続的に差押さえられます。
最高裁判所第三小法廷決定・平成17年12月6日

【判示事項】 保険医療機関、指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権と民事執行法151条の2第2項に規定する「継続的給付に係る債権」に当たるというべきである。

2 医療法人を設立し、理事としての報酬を受領している場合は、継続的に理事報酬を差し押さえることは、同族会社の取締役の報酬と同様に難しいです。
ただ、逆に、給与の場合の「手取りの2分の1」(一般的には4分の1。婚姻費用や養育費は、例外的に2分の1)という制限がなく、全額差押さえできますから、まとまったところで差押さえは可能です。

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