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離婚

養育費などの強制執行

婚姻費用(夫婦が、同居しているが、離婚に至っていないときに、収入の多い者から少ない者への金銭給付)、子の養育費については、強制執行に頼らざるを得ない場合があります。

 平成15年の民事執行法改正前は、履行期が来たものだけしか強制執行できませんでしたから、毎月強制執行をすることは難しく、ある程度月数がまとまらないと強制執行が事実上できないという不便がありましたし、給与の差押えの範囲も手取りの4分の1と、一般債権執行とと同列でした。
 なお、破産すると養育費等も免責されていましたし、個人民事再生は、原則5分の1に切捨てられていました。

1 改正された民事執行法151条の2によれば、養育費等の履行確保のため、遅れがあったときには期限未到来分の強制執行ができるようになりました。
2 改正された民事執行法152条3項によれば、養育費等の履行確保のため、差押禁止の範囲が給与の「4分の3」から「2分の1」に縮小されました。なお、名目ではなく、手取りの2分の1です。
3 改正破産法253条によれば、婚姻費用や、子の養育費については、例え破産しても借金はチャラにならず、支払わなくてはならないことになりました。
4 改正された民事再生法229条3項253条によれば、婚姻費用や、子の養育費については、例え破産しても、借金は5分の1に減額できず、満額支払わなくてはならないことになりました。

 もっとも、養育費強制執行を行う際の注意点ですが、元夫の資産状況を把握していくなかで、不動産などがある場合は別ですが、離婚後しばらくすると預貯金は見つけにくく、現実的な「執行対象」は「相手の給料」ということになります。
 また、長期的な支払が必要とされる養育費については、継続的に支給される財産である「給料」の差押が理想的であるとも言えます。

 しかし「給料」を差押えしてしまうと、会社に差押の事実が判明してしまうため、相手も会社に居づらくなるため、義務者(通常の場合、夫)が会社を辞めてしまうことがあり得ます。

 元の夫が職を失えば「給料」の差押は、事実上不可能となりますので、強制執行を行う際は、慎重に検討する必要があるでしょう。

あまり弱腰で行くのも「しゃくにさわるし」、また、「金の卵」をこわしてしまうのは危険すぎ、難しいところです。
 公務員や大企業勤務の場合などは、差押えをしたからといって、相手は職を離れようとはしないでしょうし、現実に職を辞めさせられることは少ないでしょう。
 勤続年数が長期になれば、退職金もねらえます。

 問題は、中小企業勤務の場合ですね。
 こればかりは、弁護士は利害得失を説明しますが、最終的に、依頼者に判断してもらうしかないでしょう。

西野法律事務所
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