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トリビア バックナンバー 2/2

待ち行列の論理

 「待ち行列」という言葉をご存じでしょうか

 入国審査を考えましょう。入国者が入国審査官に到着し入国審査を受け(「サービスを受ける」といいます)去っていきます。到着したときに入国審査官が空いていれば、待たずにサービスを受けられますが、サービス中の人がいる場合には、自分の番がくるまで待ちますので行列ができます。
 待ち行列の理論(Queing Theory)とは、このような系について、待たないでサービスを受ける確率、行列の平均長さ、到着してから去るまでの平均時間などを計算する理論です。
 待ち行列には、次のように多様な例があります。

 「入国者と入国管理官」「スーパーの客とレジ」「銀行の客と窓口」「患者と医師」「自動車と料金所」などです。
 なお、法律相談は、通常、完全予約制(たまたま、空いていれば「飛込み可」の弁護士会や地方自治体があります。予約のキャンセルがあることもありますので、急いでいるなら、出かけてみるのも一方法です。ただ、予約なしで、法律相談を受けられるという保障はありません)なので、「行列」はできません。

 待ち行列と到着・サービス分布の関係についてみてみます。
 入国者が平均5分おきに到着し、入国審査は平均3分かかるとします。もし、入国者の到入国審査に要する時間が一定で、平均的に入国者が到着するのであれば、待ちが生じることはありません。

 しかし、実際には入国者の到着は平均5分であっても、3分、4分、8分というようにバラツキがありますし、入国審査に要する時間も平均は3分だとしても、それより短いこともあれば、長くかかることもあります。

 もし、到着の平均間隔が5分、入国審査に要する時間が3分とした場合、その到着がランダムである「ポアソン分布 (Poisson distribution)」によるとき、理論的な計算をすると、入国審査を待っている人の平均値(Lq)は0.9人であり、到着してから入国審査を受けるまでの平均待ち時間(Wq)は4.5分になるそうです。難しいことはわかりませんが・・

 これに対し、到着の平均間隔が5分、サービスの時間間隔が4.5分(3分の1.5倍)とした場合、その到着がランダムである「ポアソン分布」によるとき、理論的な計算をすると、入国審査を待っている人の平均値(Lq)は8.1人で、到着してから入国審査を受けるまでの平均待ち時間(Wq)は40.5分と、8.89倍になるそうです。

 ずいぶん、直感とはかなり異なる状況になりますね。サービスの時間が1.5倍になっただけで、待ち時間が8.89倍になるなんて・・

 かなり長い行列ができていても、サービスする人(入国審査官・緑の窓口の職員・スーパーやコンビニのレジ担当)を倍に増やせば、行列は半分になるわけではなく、行列自体がなくなってしまうというのは、皆さんの経験でよくあることではないでしょうか。
 逆に、サービスする人が半分になれば、いままでなかった列が、長い列になることもあります。

 このようなことを、計画時に知らずに人員配置すると、実施してから多くのトラブルを生じる危険があります。待ち行列の知識が必要ですね。

 もちろん、入国審査官は、1人ではありません。
 複数の入国審査官が配置されています。
 帰国した自国民の入国審査や再入国をする外国籍の人などは容易ですから、入国審査官の配置はさほどいりません。
 問題は、外国人の入国審査です。

 到着機が重なるなど、入国審査待ちの長い行列ができる場合、わずかの入国審査官を増やすだけで対処できます。
 自国民の入国審査官を、外国人の入国審査官に配置換え(自国民の入国審査の窓口を、外国人に開放する)するだけで、列などはすぐに解消されます。

 日本のコンビニやスーパーなどでは、列が増えてくると、在庫品の配置をしていた従業員が、レジ担当に早変わりということは当たりまえの話ですね。

 これを臨機応変にする国と、かたくなに変えない国がありますね。
 どこの国とはあえていいません。

 もちろん、アメリカなどは、列の順番が回ってきても、指紋を採ったり、目の静脈を撮影したりで結構時間がとられますから、列の順番が回ってきたから、すぐに入国というわけにもいきません。
 また、日本人とアラブ系の人では、時間に相違があるのは「やむを得ない」ところでしょう。
 入国審査に「フォーク並び」を採用している国(アメリカのJFK空港など)は、入国審査が簡単な人と、時間がかかる人との差が激しい国です。
 通常の入国審査場の配置からすると、フォーク並びにするということは結構難しいものがあります。

 ちなみに、ロンドンヒースロー空港では、自国民+EU+スイス籍と、その他に分かれています。
 「その他」の待ち時間が長いこと長いこと・・。
 不法入国者の締出しの他、テロ対策が加わりました。

 ただ、日本人の場合、日本からの飛行機などの場合は、ツアー客に紛れ込めばいいのです。日本人のツアー客は「菊の紋章」のパスポートの表紙を見るだけで素通りさせてくれます。

 関空からロンドンへの直行便(現在、日本航空のみ)がなくなるんですよね。
 フランクフルトからの飛行機で到着して、「その他国籍」で行列をしているとき、例え、列の前に1人しかいない場合でも、日本人の団体客が来れば、すぐ列を離れて、日本人の団体客に紛れ込むのが正解です。
 1人だと、帰国の航空券を見せろだとか、入国目的は何だとか、どこに滞在するのかだとか(入国目的や、滞在場所は入国審査用紙に書いてあります)うるさいこと。
 50歳過ぎの日本人が不法滞在目的で入国することなんて常識的にありえません。
何で、好きこのんでイギリスのように、まともな味の料理がないような国に・・

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