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2012年バックナンバー

日本銀行の金融緩和

日本銀行は、平成24年12月20日、金融政策決定会合で、10兆円の追加緩和を決めました。
 あわせて白川方明総裁は、「前年比2%」の物価目標の設定を検討することも表明しました。平成25年1月の次回決定会合で結論を出す予定です。

 自由民主党の安倍晋三総裁の求めに応じた形です。

 日本銀行にとって、先の総選挙で、自由民主党と公明党が、衆議院議員の3分の2を獲得するということは予想外だったでしょう。
 日本銀行の独立を定める、日本銀行法の改正が可能な議席数です。

 日本は、20年間デフレの状態にあったといわれています。
 また、デフレスパイラルに陥っていたともいわれます。デフレスパイラルとは「物価下落によって企業の売上が減少する」→「企業収益が滅少する」→「企業行動が慎重化し、設備や雇用の調整や給与カットが行われる」→「設備投資や個人消費などの需要の下落が物価下落につながる」→振り出し(「物価下落によって企業の売上が減少する」)に戻るという悪循環が生じることです。
 そういえば、消費者物価は、消費税率引上げのときに大きく上がっただけで、それ以外は上がっていませんね。

 デフレでは、経済発展は難しいです。


 自由民主党の安倍晋三総裁は、中央銀行が直接国債を引受け、無制限に円を発行すべきであると主張していました。本人は直後に否定しています。

 日本銀行総裁は会見で、「一般論」と断ったうえで以下のように述べました。
 「中央銀行が直接国債を引受けると、通貨の発行に歯止めが効かなくなる」「国が肩代わりと誤解されると、長期金利が(国債が売られる結果)上がり、財政再建にも実体経済にも悪影響が出る」「3%のインフレ目標は現実的でない」

 国の中央銀行が、直接国債を引受けることは「禁じ手」です。

 第一次大戦後のドイツの例を引くまでもなく、日本は第2次世界大戦中に、戦費調達のために国債の日銀引き受けをやって、戦後の物価は90倍にもなったことが端的に証明しています。

 日本銀行が、直接国債を引受ければ、3%というインフレにすることは不可能ではありません。
 しかし、日本銀行が、直接国債を引受けることなく、市場で国債を購入して、3%というインフレとなるということは現実的ではないように思います。

 中央銀行が直接国債を引受けるという方法は、反対が強くて採用されることは幸いなさそうです。


 日本銀行の10兆円の追加緩和はどうでしょう。

 景気が悪化状態にある時、一般的には金利を引下げる策が用いられるのですが、すでにゼロ金利の状態にある場合は、この方法はとれません。
 中央銀行が民間資産の買入れを行って市場に出回る資金量を拡大するという量的緩和策という方法があります。

 日本銀行は、日本国債なら今でも市場から購入しています。
 これを大幅に買増しするということですね。
 また、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)については、平成24年11月5日に、購入を決定していますから、それらの購入額を増やすのか、別の何かを購入するのかでしょう。

 お札を大量に刷り、デフレが改善されるまで市場に供給していくという金融緩和策は、一歩間違えれば副作用を生じる「劇薬」です。

 日本銀行が国債を大量に買い上げて市場にお金を供給すれば、企業は設備投資を前倒ししやすくなる。企業の売上高が伸びれば雇用と賃金も上向き、個人消費も押し上げていって、金融緩和が好循環を創出するとの期待は確かにあるでしょう。

 物価が上昇しても、企業が収益を内部留保に回すだけでは、賃金の上昇や雇用の増加につながらない可能性があります。

 しかも日本の国債等の残高は1000兆円を超えています。
 物価と連動して国債の金利も上がれば、利払い負担もそれだけ重くなります。
 金融緩和と同時に財政出動で景気を支えるといっても、インフレ下で国の借金ばかりが膨らむ恐れがあります。


 また、3%というインフレ・ターゲットを設定した上で、インフレ件が進行するように金融緩和を思切り行う、そうしてデフレを脱却し超円高を是正して成長トレンドを回復するという政策についてのアイデアがあります。

 インフレ・ターゲットに基づく諸政策により、インフレは生じさせることができるかも知れませんが、歯止めが効くかどうかが問題です。
 歯止めが効かず、インフレが際限なく続くというのでは、かえって危険です。


 若い人は「インフレ」の影響は知れています。
 給与は、遅れてではありますが上がります。
 自分で働いて稼げるというのが大きいですね。
 金融資産は、しれているでしょうし。

 年金暮らしをしている高齢者にとって、インフレは「たまった」ものではありません。
 年金額は、インフレに遅れますし、満額というわけにもいかず、年金の手取りは確実に減ります。
 何よりも、預貯金など金融資産の価値が下がることが問題です。
 もう、自分で働いて稼げないか、稼いでもわずかです。
 デフレが、もっとも「心地よい」のでしょう。


 私自身は、景気の回復は「待ったなし」とはいえ、インフレ・ターゲット論は「ギャンブル」だと思っています。
 いったんインフレになったとき、インフレ率のコントロールが不可能と考えるからです。

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