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2012年バックナンバー

生活保護の不正受給

生活保護の不正受給は、いろいろな態様があるようです。

 生活保護受給中に働いているにもかかわらず、給料を申告しないというのは、よく耳にします。
 失業保険受給中に、アルバイトをして申告しないのと同じですね。
 また、働いていても、生活保護はもらえます。必要な生活保護費から、給与分が差引かれて支給されますが、給与を過少申告して、余分に生活保護費をもらうという「手口」もあります。
 金額さえ少なければ、刑事処分まではいかず、給与分をカットして終わりということになるようです。

 老齢年金などの年金を申告しないというのも、よくあります。
 もともと、金額はわずかですから、金額さえ少なければ、刑事処分まではいかず、給与分をカットして終わりということになるようです。

 財産隠しもよく聞きます。
 生活保護を受給している場合「原則として」不動産や自動車は所有できないのですが、それを隠して生活保護を受けるという「手口」があります。
 預貯金を、親族名義などにして財産を隠し、生活保護を受けるという「手口」もあります。
 これは、さすがに、金額が大きいと詐欺罪で検挙されることがあります。

 偽装離婚もよく聞きます。
 偽装離婚して、戸籍・住民票上は母子家庭となって、生活保護を申請して受給しながら、現実には夫と同居しているというパターンです。

 あと、病院、診療所など医療機関と結託して、虚偽の診断書で生活保護を受給するという「手口」もあります。
 高年齢者が診断書を求められることは少なく(それなりに、健康でも、働き口がありませんね)、若い人が診断書を求められます。
 手足などの機能障害は「ばれる」ことがありますが(病院、診療所など医療機関に捜査が入れば、芋づる式です)、精神的な疾患、たとえば「うつ病」などは、なかなか詐病でもバレにくいようです。

 「現役の」暴力団員は、生活保護は受けられません。暴力団員であっても、本当に「足抜け」していれば、生活保護は受けられます。
 暴力団員であることを隠して生活保護を受給する例もあります。

 生活保護の不正受給が横行している理由は、「調査にも限界があり、現場は疲弊している」ということ、「意図的に資産を隠されたらどうしようもない」ということ、調査権を持つケースワーカー1人あたりが担当する生活保護世帯が、社会福祉法が定める基準を大きく上回っていることなどですが、近所つきあいが密な地方に比べ、都市部では「隣は何をする人ぞ」ということで、近所の目を気にすることもありませんし、密告もないからでしょう。
 また、特に、財産隠しでは「名寄せ」の制度が不十分ということが指摘されています。


 それでも、詐欺罪での逮捕者はいます。
 類型別に見てみます。

 1 収入隠し
   年収は多い年で820万円あった事例
   年間370万円の収入があった事例

 2 財産隠し
   親名義で3400万円を貯金しているにもかかわらず、生活保護を受給していた34歳の無職男性の事例
  高級外車を含む計3台の車を所有しながら、生活保護を受給していた事例
  消費者金融からの過払い金826万円の返還を受け、保護費の受給対象ではなくなったのに、その収入を区役所に届けず、生活保護費を不正に受給した事例

 3 二重受給
   自分の分と、別の男性の住民基本台帳カードを持って更生相談所に生活保護を申請し、別の男性名義で住宅を借りたことを区役所に届け、生活保護費を二重に受け取っていた事例

 4 暴力団組員であることを隠して不正受給した事例
   暴力団員であることを隠して生活保護を申請した事例
  暴力団組長の身分を隠して生活保護費を不正に受給した事例
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