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2012年バックナンバー

原子力発電のコスト

東京電力は、平成24年11月7日、平成25年度・26年度の中期経営計画を発表しました。

 福島第1原子力発電所事故の除染や廃炉といった福島第一原子力発電事故の処理にかかる費用の総額が、平成24年5月の「総合特別事業計画」で想定した上限5兆円を突破し、今後、事故処理にかかる費用は10兆円を超える規模までふくらむ可能性があり、単独でまかなうのは難しいと判断しました。
 政府は、原子力損害賠償支援機構を通じて東京電力に5兆円まで交付国債を発行することにしていました。東京電力は、賠償などで必要になった金額を、その都度、機構に請求して現金で受取ることになります。東京電力は、将来、利益から返す必要があります。

 なお、東京電力は、平成24年7月、政府から1兆円の公的資金の注入を受け、実質国有化されました。これとは別に、原子力発電事故の賠償にあてるため約2兆6000億円の支援を受けられることになっています。


 原子力発電は「発電原価」が、水力や火力に比べ「安価」なのでしょうか。

 沖縄電力に原子力発電所はありません。水力発電所もなく火力発電所のみです。

 重量電灯300kWh当たりの電気料金(平成24年5月)は、北海道電力6800円、東北電力7100円、東京電力7300円、中部電力7100円、北陸電力6600円、関西電力6800円、中国電力7300円、四国電力6900円、九州電力6600円、沖縄電力7800円となっています。

 確かに、沖縄電力の電気料金は高いですね。
 東京電力は、8.46%値上げして7900円で沖縄電力を抜きます。
 東京電力は、7900円でとどまるはずはなく、さらに上がるということになるでしょう。
 東京電力が、利益から、10兆円を返済していくとすれば、電気料金はいくらくらいになるのでしょうか。

 また、福島第1原子力発電事故による損害は、除染、廃炉に要する費用、東京電力による損害賠償のみにとどまるはずもなく、実際は、はるかに大きい金額ですね。


 福島第1原子力発電事故までは「たまたま」「運に恵まれたため」「原子力発電事故がおきなかった」ということのようです。

 なお、原子力原発を停止したことによるLNGなどの燃料費増は、政府の見通しによれば昨年2.3兆円、今年は3.1兆円ということですが、沖縄電力のように原子力発電をしていなければ、魚業補償金、電源三法(電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法)による交付金電源3法による交付金、巨額の固定資産税、さらに電力会社からの寄付金等の原子力発電にかかる費用は「0」ですから、LNGなどの燃料費増だけを強調するというのは公平を欠いているでしょう。

 福島第1原子力発電事故が現実におきてしまった以上、「もう一度、福島第1原子力発電事故がおきたらどうなるか」と考えて、原子力発電の存否を検討するべきでしょう。

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