2012年バックナンバー
韓国の弾道ミサイル
韓国は、平成13年、アメリカとの協定で、朝鮮半島の緊張を高めないために、弾道ミサイルの射程を300キロまでとする指針をアメリカとの間で定めていました。
もともと、韓国のミサイルは、アメリカの技術供与で開発されていました。ロシアへの ただ、韓国の最新型のミサイルは、ロシア(SS-21、26ミサイル)へのスパイ行為によって開発されたものともいわれています。
韓国側には弾道ミサイル開発の制限にかねて不満があり、平成21年4月の北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射を受けて、アメリカに指針の改定を非公式に求めたのですが、アメリカはいったんは拒否ました。
しかし、翌平成22年に、韓国哨戒艦沈没事件や大延坪島砲撃事件が起き、北朝鮮のミサイル開発も続いていることなどから、アメリカと韓国が、平成22年末から改定をめぐり協議を続けてきました。
射程距離800キロメートルなら、北朝鮮北東部のムスダンリにあるミサイル発射施設を含めた北朝鮮全域が射程圏内に入ります。
中国の沿海部や、大阪など西日本が射程に入ることになります。
射程距離と弾頭重量との関係ですが、射程距離が長くなれば精度が落ちますから、重い弾頭でないと効果が発揮できないということです。
韓国は、射程距離1000キロメートル、弾頭重量1トン(1000キログラム)が必要だと主張しましたが、射程距離1000キロメートルとすると、東京や北京が射程に入り、弾頭重量1トンについても、将来的に核弾頭やICBMなど長距離弾道ミサイルの開発に活用される可能性がありますから、アメリカは、承諾しませんでした。
なお、北朝鮮は既に射程距離3000-4000キロメートルのムスダンミサイルを実戦配備し、中国は射程距離1万1000キロメートル、弾頭重量1.5トンのICBMを保有しています。
ロシアも、射程距離1万2000キロメートル以上のICBMを実戦配備しているとされています。
ちなみに、日本には弾道ミサイルはありません。
もっとも、人工衛星とミサイルは、弾頭に何を積んでいるかの違いだけですから、人工衛星をとばせる技術が有れば、弾道ミサイルに転用可能です。
日本には、今は、予算の関係で開発中止になりましたが、3段式の全段固体燃料ロケット(軍事的には、ロケット発射が燃料注入により事前に他国にわかる液体燃料は向いていません)M-V(ミュー・ファイブ。「M」はギリシャ語の「μ」の大文字。「V」はローマ数字の5)の技術がありますから、憲法9条の関係がクリアできれば、弾道ミサイル、大陸間のICBMでも開発は可能といわれています。1.7トン(1700キログラム)の人工衛星を積載したこともありますから、通常の爆薬でも威力はありそうです。
なお、韓国が、協定内の範囲の弾道ミサイルを、すぐにでも開発できるということではありません。
軍事技術ですから、他の国の技術を「どうにかする」ということも難しいでしょうし、自力開発についても「独創性があるのか」というのが疑問です。
平成24年10月末に、ロシアが1段目、韓国が2段目のロケットの発射実験をするそうです。