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2012年バックナンバー

実務修習地

 司法試験の合格者が決まり、修習生の採用が始まりました。

 「実務修習希望地調査書」

 修習生は、地方裁判所と家庭裁判所と検察庁と法律事務所で研修します。
 「修習地」といいます。
 司法修習生の希望を聞いて、最高裁判所が実務修習地を決定します。

 私の司法修習32期の当時は、「高等裁判所」別の「修習地」の「一覧表」があり、「第1~第8志望まで記載すること、但し、同一高等裁判所管内の裁判所は2箇所までしか希望できない」となっていました。

 私は「東京」「大阪」「横浜」「神戸」「名古屋」「福岡」「広島」「高松」と記載して出した記憶があります。
 土地勘のあるのは、東京周辺と近畿(和歌山と親戚のいる大阪市と神戸市・西宮市)のみです。
 同一高等裁判所管内の裁判所は2か所ですから、「東京」「大阪」「横浜」「神戸」としました。
 あとは、全く見知らぬ土地です。「名古屋」「福岡」「広島」「高松」は高等裁判所所在地を列記しただけですね。

 結局、修習地は、希望どおり「東京」となりました。
 東京地方裁判所の民事部と刑事部各4か月、東京地方検察庁4か月、東京弁護士会所属の指導弁護士の法律事務所(銀座1丁目に事務所がありました)4か月が、実務修習です。
 あと、前期修習と後期修習の各4か月が東京都文京区湯島にある司法研修所です。
 合計24か月、2年ということになります。

 大学3年生4年生のとき、東京都文京区に下宿していましたから、その下宿から通うこととして、前期修習と後期修習は大学校内を徒歩で通抜けて研修所に通い、東京地方裁判所の民事部と刑事部、東京地方検察庁は営団地下鉄(東京メトロ)の丸の内駅、指導弁護士の法律事務所は営団地下鉄(東京メトロ)の銀座駅に通いました。
 丸の内線は、下宿の最寄りの「本郷三丁目駅」は、「丸の内駅」、「銀座駅」をとおりますから乗換えなしです。
 生まれて初めて、「定期券」をもちました。
 幼稚園はスクールバス、小中学校は徒歩、高等学校は自転車、大学は、大学から徒歩県内の下宿です。

 現在は制度が変わっています。
 以下の、1群(最も人気のある修習地)、2群(「それなり」の修習地)、3群(最も嫌われる修習地)までから6か所選ぶということです。

1群 東京、立川、横浜、さいたま、千葉、宇都宮、静岡、甲府、大阪、京都、神戸、大津、名古屋、福岡、仙台、札幌
2群 水戸、前橋、長野、新潟、奈良、和歌山、津、岐阜、金沢、広島、岡山、熊本、那覇、福島、高松
3郡 福井、富山、山口、鳥取、松江、佐賀、長崎、大分、鹿児島、宮崎、山形、盛岡、秋田、青森、函館、旭川、釧路、徳島、高知、松山

 全国に、地方家庭裁判の本庁は50(各都府県に1つ。北海道は4つ)、修習地は、東京地方家庭裁判所立川支部が加わり、原子力発電事故のあった福島が除かれて、50です。

 第1希望、第2希望、第3希望、第4希望は「1群から3群までから選択」「1群から選べるのは2箇所まで」となります。
 第5希望、第6希望は「3群から選択」となります。
 確かに、3群の裁判所で実務修習したくはありません。


 ちなみに、私が、当時、選択したのは、1群6か所、2群2か所で、現行制度では絶対選択できませんでした。

 ちなみに、特殊事情がある場合は、記載できます。
 私は、特殊事情はありませんから、記載はしませんでした。
 中には「親と同居していて、親の自宅から通勤したい」とのみ書いた「猛者」もいたようです。
 どこが「特殊事情」かと「つっこみたく」なりますね。

 東京に自宅のある修習生が、宇都宮や長崎などが修習地となり、なぜ独身で出身が和歌山の私の修習地が東京なんだという人もいました。


 ところで、平成24年の「特殊事情」の例は以下のとおりです。

1 配偶者等との同居希望
(具体的事情)
現在、民間企業に勤務している妻及び○歳の子と同居して生活しているところ、今後も同居を継続するため、現住所地から通勤可能な地を希望する。
2 本人の病気
(具体的事情)
○○病に罹患しており、現在月1回△△病院(□□県●●市)に通院して高度に専門性を有する治療を受けており、今後もその治療を継続する必要があるため、現住所地から通勤可能な地を希望する。
3 親族の介護
(具体的事情)
現在同居中の父親が身体障害者(1級、介護認定・要介護5)で、母と私で入浴・食事等の介護を行っており、私がいないと介護に支障が
生じるため、現住所地から通勤可能な地を希望する。
4 経済的事情
(具体的事情)
法科大学院在学中の奨学金の返済額が1か月●万円(総額●●●万円)となっており、転居をすることが極めて困難なため、現住所地から通勤可能な地を希望する。

 「配偶者等との同居希望」「本人の病気」「親族の介護」はありましたが、「経済的事情」は「泣かせます」ね。

 昔は「親の自宅から通勤したい」などは「ええ年して、あほか」と言われたものですが、今なら「法科大学院在学中の奨学金の返済額が1か月●万円(総額●●●万円)となっており、返済が極めて困難なため、家賃と光熱費が不要である、親の自宅から通勤したい」は十分特殊事情でしょう。

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