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2012年バックナンバー

除染の遅れ

最近、ニュースにもならない「除染」ですが、遅々として進んでいないそうです。

 除染、および、放射性物質に汚染された土壌などの処分の手順は以下のとおりです。
 「除染」→「仮置場」→「中間貯蔵施設」→「最終処分場」

 「最終処分場」からはじめましょう。

 もちろん決まっていません。
 鹿児島県の伊藤知事は、平成24年9月7日の記者会見で、「地元とは関係なく、県としてそうした施設の建設は絶対に容認できない」と強く反対しました。
 伊藤知事は「大隅は安心・安全な食の供給基地と、観光振興という方向で発展を図りたい。そのため、報道されているようなプロジェクトには全く反対」と述べ「除染した後のものを持ってこられる危険性を地域がどうして負わないといけないのか。風評被害を含めて、危険性はあまりにも大きい」としました。

 原子力発電所のあるところか、再処理施設のあるところ(青森県)以外の都道府県は、「最終処分場」を受入れるはずがありません。
 日本は民主主義国家です。受入れ容認などとした首長は、次の選挙で絶対当選しませんから。

 「最終処分場」が決まらなければ、「中間貯蔵施設」も決まりません。
 「中間貯蔵施設」といいながら、「最終処分場」が決まらなければ、「中間貯蔵施設」が「最終処分場」になってしまいます。

 次に、「中間貯蔵施設」はどうでしょう。

 政府は、平成24年8月19日、福島県内の除染で出る汚染土などを保管する中間貯蔵施設の具体的な候補地を地元自治体に示しました。
 福島県の双葉、大熊、楢葉の3町内の原子力発電周辺の計12カ所で、すべて設置場所となる可能性もあります。双葉町が東京電力福島第1原子力発電の北西の双葉工業団地周辺の2カ所、大熊町が夫沢、小入野、熊川の各地区の一部など9カ所、それに楢葉町が福島第二原子力発電の南西の波倉地区の1カ所。南相馬市や浪江町など8市町村で出た汚染土を双葉町の施設、いわき市と広野町の汚染土を楢葉町の施設、残る市町村の分を大熊町の施設に搬入する計画です。

 佐藤福島県知事は、回答を保留しました。

 これは、常識的に考えて「福島県の原子力発電所付近しかない」ということですが、これすら決まっていません。

 さらに、「仮置場」をみましょう。

 「仮置場を決めても、いつ汚染土壌を中間貯蔵施設に運び出せるか見通せない。一刻も早く除染したいが、住民の理解を得るのは容易でない」ということですね。「仮置場」が「最終処分場」になる可能性もあります。

 除染が停滞している最大の要因は、仮置き場が決まらないことだ。中間貯蔵施設の整備計画が遅れる中、保管期間の長期化や風評を恐れ、住民が反対するケースが多いようです。
 当然でしょう。
 自分のところは「一刻も早く除染したい」、しかし、自分のところが「仮置場」になるのは絶対嫌ということです。

 一向に除染ができなくて当然です。

 「2014年3月末までの除染完了」を掲げる政府の工程表は、仮置場の適地探し、住民の理解を得る難しさ、想像以上の除染廃棄物の多さ、中間貯蔵施設の決定の難しさ、最終処分場決定が不可能なことから、実現不能となっています。
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