本文へ移動

2012年バックナンバー

東日本大震災と鉄道

平成24年4月1日、第3セクター・三陸鉄道株式会社は、北リアス線の陸中野田~田野畑間で運行を再開しました。
 全区間107キロメートルのおよそ半分が開通、平成32年の全線復旧を目標に掲げています。

 一方、JR東日本は、平成24年3月17日にJR八戸線(八戸~久慈間)を全線再開しています。
 平成24年5月17日、JR気仙沼線で、BRT(バス高速輸送システム)の運行が始まりました。

 地元は鉄道が復旧するまでの、いわば「つなぎ」の交通手段として受け入れたものですが、このJR気仙沼線、JR山田線、JR大船渡線の被害の大きかったJR東日本の3つの路線は、鉄道復旧のメドがまったく立っていません。


 大きな方針の違いは、国からの費用補填の違いです。

 もともと赤字であった、第三セクターである三陸鉄道には、全線復旧に必要となるされる100億円超もの費用のほぼ全額を国が補填します。
 一方、黒字経営であるJR東日本には全域復旧に必要とされる1600億円規模の費用は、JR東日本が自前で負担しなければなりません。

 JR東日本は、各路線の収支は公表していません。
 常識的に考えて、三線とも赤字でしょう。

 JR東日本は、民間企業として赤字路線を1600億円かけて復旧するのが困難であることは想像に難くありません。
 JR東日本が、目下、代替案として提示しているのがBRTです。
 BRTとは、専用道路を通るバスのことで、もともと電車が走っていた線路上を定期運行のバスが走ることを想定しています。
 線路敷設の手間が省けるため、復旧の費用を抑え、期間も大幅に短縮できます。

 「鉄道を復旧してほしい」というのが地元市民の素直な気持でしょう。

 ただ、残念ながら「無茶な話」でしょう。

 JR気仙沼線、JR山田線、JR大船渡線は、地震が無くても赤字線、これからの少子高齢化、若者の田舎離れということを考えると、地震が無くても、赤字が増加することは間違いないでしょう。
 線路の位置を決めるにも、高台移転など、まちづくり計画を待つ必要もあります。

 そんな路線に、JR東日本が1600億円もかけるというのは、無茶な話です。
 まあ、関西に住んでいる私にとっては、影響は少ないでしょうが、JR東日本の管内に住んでいる人は、正直「反対」でしょう。

 「BRTを受ければ鉄道の復旧がなくなってしまうのではないか」ということですが、100%そうなるでしょう。

 実を取るなら、BRTですね。
 気仙沼市など地方自治体が、鉄道復旧の前段としての「仮復旧」ということを明確にし、これによりBRT導入に同意したのは賢明でしょう。

 JR大船渡線の沿線自治体は検討を続けています。
 これに対し、JR山田線の沿線自治体は拒否しています。

 JR山田線の沿線自治体の考えは「甘い」と思います。
 そのうち、さらに、沿線の人が減っていって、BRTすら不必要ということになるかも知れません。
TOPへ戻る