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2012年バックナンバー

懲りませんねぇ

関西電力の八木社長は、平成24年7月25日、「大飯3・4号の次という意味では、高浜3・4号のプラントをですね、優先的に再稼働をさせていただく方向でですね、これから国といろいろと調整をさせていただきたいと思っております」と、高浜原子力発電所を再稼働させたい意向を表明しましたた。

 これに対し、同日夜、報道番組に出演した枝野経済産業大臣は、不快感をあらわにしました。
 枝野経産大臣は「規制機関が独立して、どう判断するのかということなしに、調整ができる立場でもありません。そういった手続きとかわかっておられるのに、なぜ、このタイミングで言うのか、本当に強い違和感を感じました」と話しました。

 さすがに、八木社長は、平成24年7月27日、大飯原子力発電所に続き高原子力発電所原発3、4号機の再稼働を目指すとした自らの発言をめぐり、記者団に「私の思いを十分にお伝えできずに、誤解を招いたことは誠に申し訳なく思っていると述べました。

 ただ、反省の色はないようです。

 関西電力の高浜原子力発電所高浜3号機・4号機は、MOX燃料による発電をしている、さまり、危険なプルサーマルの原子力発電機です。


 関西電力は、平成24年7月30日に発表した平成24年4月から6月期の連結決算は最終損益が995億円の赤字(前年同期は334億円の黒字)と、4月から6月期として最大の赤字となったと発表しました。
 原子力発電の停止で火力発電所の燃料費がかさみ、赤字額は過去最大となります。

 関西電力社が再稼働の必要性を訴える理由は電力の「安定供給」ではありません。
 経営そのものが原子力発電に「依存」しているのです。

関西電力は福島第1原子力発電事故まではCMなどで「関西の電力の半分は原子力」とPRしていたが、逆に考えますと「原子力発電の開発に熱心なあまり、火力の増強は後回しだった」ことが完全に裏目に出た形です。

 まず、火力発電ですが、「石炭が6円、LNGが17円、石油が20~22円」となっており、LNGに比べ、コストの高い石油への依存度が高いことは業績悪化に直結します。

 関西電力の火力発電は、他の電力会社と比べても、LNGに比べコストの高い石油への依存度が高いという点があげられます。

 次に、関西電力の火力発電は、他の電力会社と比べ、老朽化した発電所を使い続けています。

 LNG火力発電所は、高効率の「コンバインドサイクル」と呼ばれる発電方式の導入が進んでいます。
熱効率で見ると、従来型が4割前後なのに対し、コンバインドサイクルは6割強と2割程度の差があります。
 関西電力は、他の電力会社と比べ、「コンバインドサイクル」と呼ばれる発電方式の導入が遅れているのです。

 結局、火力発電機について、設備投資をして新規の火力発電所をつくったり、新型の火力発電機の導入を怠り、原子力に頼った「いびつ」な発電で利益を上げていたのです。

 石油やLNGを使わざるを得ないとなれば、効率の悪い火力発電機が多い関西電力の首を絞めることになるのです。
火力増強を「後回し」にしてきたツケが回ってきているということになります。

 関西電力は、原子力発電機11基中7基を稼働させないと黒字にはならないそうです。
 無理ですね。

 収支を安定させるには、大幅なコスト削減と、電気料金の値上げしか手段はありません。

 関西電力は「電力代金値上げは、現時点では考えていない」と当面は内部留保の取崩しで対応する方針です。総括原価法式でも、何百億円の内部留保があるのですね。

 しかし、関西電力が、まずなすべきことは、役員と従業員の人件費の大幅カットでしょう。
 とりわけ、火力発電への投資をおろそかにしてきた役員の大幅カットは、すぐにでも実施すべきでしょう。
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