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2012年バックナンバー

関西電力の火力発電停止

平成24年7月7日の読売新聞の報道によれば、大飯原子力発電所3号機(出力118万kW)の再稼働で供給力が増強され、2421万~2466万kWを確保できるとし、また、需要は2080万~2170万kWにとどまると見込んで、最大8基の火力発電所(計384万kW)の運転を停止する計画を発表しました。

 火力発電は、フル稼働状態でしたから、電力需給が緩和されているうちに、発電を停止して保守点検をしておかないと、「いざ」というときに、故障のため運転できないということになりえますから、火力発電を止めるのは「正解」です。
 原子力発電は、24時間一定の出力しか出せませんから、火力発電で調整します。

 もっとも、大飯原子力発電所3号機の118万kWと、最大8基の火力発電所の運転停止の384万kWを比べて、「?」と考えられる方もおられるでしょう。

 ただ、節電は間違いなくしていますし、また、現時点ではさほど暑くなっていないということですから、関西電力に「騙された」というわけではありません。

 関西電力に「騙された」と思う人が多いのは、関西電力の「日頃の行いが悪い」からでしょう。

 基本的に、関西電力の原子力発電再稼働は、電力不足が「動機」ではありません。
 石油やLNGの火力発電では、燃料代が高いため、原子力発電を動かしているだけのことです。
 何より証拠には、電力消費量の多い夏が過ぎても、原子力発電を動かし続けると明言していますから。

 関西電力は、人員削減、報酬・給与カット・不要資産売却・配当停止などの合理化を免れることができますし、株主や金融機関も安心しているでしょう。

 もっとも、枝野経済産業大臣が、平成24年7月11日、原子力発電所について、「東京電力福島第一原発事故でもみられるような(廃炉や賠償費用など)経済的なコスト以外の側面も考えると原発は全く割に合わない」との見方を示したというのは正解だと思います。

 使用済燃料の保管、廃炉にかる費用、万一の事故のときの賠償金などを考えると(超優良企業を一瞬にして債務超過にしました)、電力会社は「近視眼」的です。

 もちろん、自分の在任中にさえ事故が発生しなければ、代表取締役以下役員には問題がないのですから(検察審査会による強制起訴や、濫訴的民事訴訟の危険はあります)、代表取締役以下役員が原子力発電に固執すると言うことになるのでしょう。
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