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2012年バックナンバー

ギリシャの財政

平成24年6月17日のギリシャ議会の再選挙は、財政緊縮策推進派の新民主主義党が第1党となる129議席、全ギリシャ社会主義運動が33議席を獲得し、旧与党の両党で過半数を確保しました。
 緊縮推進派が勝利を収めたことで、ギリシャのユーロ圏離脱の危機は当面回避されました。

 反緊縮派の急進左派連合は第2党の71議席にとどまった。急進左派連合が勝った場合、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の金融支援が停止され、ギリシャがユーロ圏離脱に追い込まれるとの見方もありました。

 といっても、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)、欧州委員会の3機関は、ギリシャの財政再建・構造改革プログラムを4半期ごとに点検し、「約束」が順守されていないと判断した場合は、金融支援を打切ります。

 アイルランドやポルトガルなど、既に支援を受けている国は、財政再建・構造改革プログラムを遵守していますが、ギリシャに「限って」は、財政再建・構造改革プログラムを遵守はありえないというのが、一般的な考えです。

 ギリシャの失業率は過去最悪の22.6%であり、財政緊縮を過度に進めれば、国民からの反発も大きくなるのは必至というのが「表向き」理由です。
 むしろ、ヨーロッパの他国の人は、ギリシャ人が、給料カット、増税や社会保険料の引上げ、社会福祉の削減に応じるような「たま」ではないと考えているでしょう。

 ヨーロッパの人、とりわけドイツ人などは、バカンスを、まとめて3週間とか4週間とります。
 行き先は、スペイン、ギリシャなどで、何もせずに過ごして、日頃の労働のストレスをとるということになります。また、日照が不足しがちですから、その補給という趣旨もあるようです。

 私自身、ドイツに留学中、ギリシャにもスペインにも、ドイツ人のツアーで言ったことがありますが、スペイン人の行動は理解可能、ギリシャ人の「怠惰さ」は理解不可能という印象を持ちました。

 日本人からみれば、日本人とよく似ていると言われる一般のドイツ人ですら「勤勉」には見えません。
 一般のイタリア人(南にいくほど「いい加減」になります)やスペイン人は、まだ、理解可能です。
 残念ながら、ギリシャ人の「いい加減さ」は、もちろん例外はあるのでしょうが、理解不可能といえるくらいです。

 ところで、ギリシャの産業はなんだと思われますか。

 特に、農業に適しているわけでもありませんし(主食となる小麦などは輸入です)、大した工業生産能力があるわけでもなく、観光業(数多くの古代ギリシャや東ローマ時代の遺跡・遺構、エーゲ海の風光明媚な島々などの観光資源による)、海外移民からの送金、船舶業が主たる収入です。

 産油国ならいざしらず、産業といえば観光業くらいなのに、ろくに働きもしないで、政府に「ばらまき」を要求していては、経済が成立つはずもありません。


 なお、日本人に、ギリシャ人を「笑い飛ばす」資格があるでしょうか。

 ドイツは、少子高齢化により財政が圧迫されていて、付加価値税は19%(軽減税率あり)。年金支給開始は、将来67歳にする法案が通過ずみ、保険料率は現在19.9%(日本と同じく労資折半)という「痛みの伴う」施策を受入れています。

 他の国への援助などは全く計算に入っていません。
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