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2012年バックナンバー

結局、再稼働

結局、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)は再稼働の見込みになりました。

 関西広域連合が、関西電力大飯原子力発電3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を事実上容認したこともあるでしょう。そうでなくても、再稼働されたでしょう。
 細野原子力発電相が安全対策に万全を期すことを確約したのに加え、7、8月の電力不足が確実な情勢になっていたことがあります。

 関西広域連合は、平成24年5月30日、再稼働を事実上容認する一方で、声明で「政府の暫定的な安全判断であることを前提に、限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める」としました。

 関西広域連合は、「限定的」の意味について統一した解釈は示していません。

  嘉田滋賀県知事は「限定的というのはどうともとれる表現だが、私としては真夏という期間の意味と、大飯3、4号機が対象という意味の両方」と夏限定の運転を主張しています。
 山田京都府知事「需給をにらんだ暫定的、限定的な稼働」と述べ、政府がつくる予定の「特別監視体制」について「京都・滋賀も加えてもらえるよう要望したい」と語ったうえ、受入れられない場合は「われわれが唯一の権限として持つ(大飯原子力発電への)立ち入り検査権や質問権の行使も検討する」と述べました。
 橋下大阪市長は「ずるずると動き続けることは絶対阻止しなければならない」と述べました。
 井戸兵庫県知事は、もともと「原子力発電再稼働問題は関西広域連合とはなじまない」という立場です。
 奈良県は、関西広域連合に入っていません。
 仁坂和歌山県知事は「計画停電は生命のリスクがある」「再稼働のリスクより、経済的なリスクの方が重いと思う。計画停電になれば、経済はめちゃくちゃになる」と述べました。といいますか、平成24年5月30日の「限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める」という関西広域連合の声明の前から、原子力発電再稼働容認の立場でした。

 首長間の微妙な立場の違いも浮彫りになりました。

 なぜ、そんなことになったのでしょう。

 大飯原子力発電所3、4号機が「絶対」「安全」などと、誰も信じていないと思います。

 原子力規制庁設置関連法案が成立すれば、EPZに代わって新たに半径30キロメートル圏内を「緊急時防護措置準備区域」(UPZ)が設定されますし、現実に、福島第1原子力発電所では指針を超える同20キロ圏を避難区域、同20~30キロ圏を屋内退避区域とする措置が取られています。

 大飯原子力発電所3、4号機が、東京電力福島第一原子力発電所と同じような事故を起こすと、滋賀県北部と京都府北部が「緊急時防護措置準備区域」(UPZ)に入ります。
 また、琵琶湖にも、放射性ヨウ素や放射性セシウムがふりそそぎます。

 「琵琶湖の水利用」をご覧下さい。

 琵琶湖の水は、神戸市から大阪府岬町まで水道水として利用されています。利用人口は1436万人です。

 この地図をみれば、奈良県や和歌山県が、大飯原子力発電所3、4号機の事故が、ある意味「他人事」といいますか、事故による危険より、電力不足による電気不足の危険が大きいという「地政学的要因」がわかります。

 なお、限定的な再稼働については、福井県の西川知事は「暫定的とはどういう意味か」「ご都合主義の勝手なことは話にならない」と述べています。

 福井県の田中県議会議長は「電気を送ろうという気にならない。再稼働件問題は、地元経済の懸念がなければ放っておく」と不満をあらわにしています。

 福井商工会議所の川田会頭は「関西は上から目線で『動かしていいよ』と言っているよう。そんなことを言われる筋合いはない」と批判し「暫定、臨時などという訳の分からないものでは非常に収まらないものがあるが、ノーだとも言いがたい状況。県民感情として納得できない」と言い放っています。

 なお、福井県は、何か勘違いしています。
 福島県への交付税だけで昭和49年から5000億円を超えているはずです。
 その巨大な金は、電力消費地の利用者の電気料金から支払われています。
 また、原子力発電建設は、地元の合意がいります。京都府、兵庫県、和歌山県、三重県は拒否しました。福井県も拒否できたのは当然です。何を今さらという気がしないでもありません。
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