本文へ移動

2012年バックナンバー

生活保護の不当な受給

 37歳の吉本興業所属のお笑いタレントが、母親を扶養するだけの十分な収入がありながら母親に10年以上生活保護を受給させている疑惑があるとして、平成24年4月下旬発刊の女性週刊誌が、匿名でこの疑惑を報道しました。

 当該お笑いタレントは「5本のレギュラーなど多数の番組に出演しており、年収は3000万円とも5000万円」とも言われています。
 妻と2人の子どもがいるが、母親を扶養するには十分な収入があるとみられています。

 吉本興業は、不正受給疑惑についての見解を公式サイトに掲載し「一説に述べられているような高額な収入ではなく、時期によって上下している」「さまざまな事情から生活の援助を行わなければならない親族が複数いる」「受給はすでにストップしており、本人が会見を開いて説明する予定はない」としました。

 あまり理由になりませんね。
 「浮き沈みの激しい業界」というのであれば、「自由業者の親は、無条件で生活保護を受給できるのか」ということになりますし、当該お笑いタレントに、親を養えないほどの収入がないということはないでしょう。

 民法877条には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と規定されています。
また、生活保護法77条には「被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる」と規定されています。

 生活ができない人がいるとき、親子兄弟が面倒をみるのは当たり前のことで、親子兄弟に面倒をみる余力のない場合、あるいは、たとえ余力があっても、親子兄弟との仲が悪くて「金をくれてやるならどぶに捨てた方がましだ」というような関係の場合(何回も服役している場合など)に、生活保護の受給を求めるという制度になっています。

 この事件を「うやむや」にすると、「○○が、親を扶養せず生活保護を受けていたくらいだから、私が、親を扶養せず生活保護を受けさせるのは当たり前だ」という人が出てくるでしょう。

 本人あるいは吉本興業は説明責任を果たすべきですし、それが嫌なら、本人が非を認めて、過去の保護費を地方公共団体に支払うべきでしょう。

 行政側の考えは「生活保護制度について」に記載されているとおりですし、正論でしょう。
 ただ、あまり、ここまではっきりと記載した自治体のホームページはみかけません。
 橋本市は、暴力団の大量不正受給で大きく報道されましたから「反省」の意味もあり、このようなホームページとなっています。
TOPへ戻る