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2012年バックナンバー

ステルスマーケティング

「ステルスマーケティング」という言葉をご存知ですか。
 「ステルス」は「ステルス戦闘機」の「ステルス」です。見えないということですね。

 口コミを元に飲食店をランク付けするグルメサイト「食べログ」での不正行為が発覚しました。

 かねてから噂はありましたが、飲食店からマージンを取って「おいしい」「また行きたい」といった好意的な感想を投稿してランクを上げる「不正業者」が約40社確認されたと「食べログ」の運営会社が発表しました。
 また「ヤフー知恵袋」で、「空港でおすすめのお店は?」との質問に対する不正な投稿が明らかになりました。

 いわゆる「サクラ」のインターネット版です。

 「○○店で買ったパンにカビが生えていた」とか「私がアルバイトをしていたハンバーガーチェーンの○○では、ハンバーガーの牛肉のかわりに『みみず』を使っていた」という投稿だったとします。

 刑法233条に「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と定められていますから、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。

 ただ、「おいしい」「また行きたい」といった好意的な感想では、「虚偽の風説を流布し」「偽計を用いて」「人の信用を毀損し」「その業務を妨害した」には該当しないようです。

 飲食店の口コミの「ステルスマーケティング」は、なかなか防げないと思います。
 誰でも、飲食店に行けるわけですから、「サクラ」の投稿は防ぐのは困難です。

ネット情報は玉石混交と考えた方がよさそうです。
 もっとも、飲食店なら「はずれ」をひいても、「被害」は大きくなさそうです。

 なお「ホテル」の「口コミ」は、工夫の仕様で、「サクラ」は排除できそうです。
 現実に利用した人にアンケートを求め(回答してくれたら○○ポイント進呈などのインセンティブをつけて)、口コミに書込める人は、現実に利用した人のみということにすれば良いからです。
 そのような「口コミ」なら、少しは信用できるかも知れません。

 ただ、ホテルの「口コミ」を見てておもしろいのは、一方で褒めちぎっている人もあれば、他方で「けなしまくっている」人もいるということです。
 普段、どの程度のホテルを利用しているかの問題が大きい要素のようです。
 同じホテルで同じサービスを受けても、安ホテルばかり利用している人は「よかった」という「感想」を書くでしょうし、逆に、高級ホテルばかり利用している人は「最悪」という「感想」を書くでしょう。

 現在のところ、弁護士の「口コミ」「サイト」は、あるのかも知れませんが、あまり聞きませんね。

 ラーメン屋のように、弁護士の「口コミ」「サイト」ができる日が近いのかも知れません。
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