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2012年バックナンバー

死刑執行

小川敏夫法務大臣が誕生しました。

 就任会見で「死刑の執行」について「法律で定められた法相の職責なので、大変つらい職務だが、その職責をしっかりと果たしていきたい」と述べ、死刑の執行に前向きな姿勢を示しました。

 刑事訴訟法475条には以下の規定があります。
「1項 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
 2項 前項の命令は、判決確定の日から6か月以内にこれをしなければならない」

 死刑以外は、刑事訴訟法472条に「裁判の執行は、その裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官がこれを指揮する」とあるのみで、検察官が執行を指揮すれば足り、法務大臣の命令は不要です。

 ただ、現実に、死刑執行の命令をしない法務大臣は多いですよね。

 確かに、死刑反対論や死刑廃止論はあります。
 ただ、現行法で死刑が定められていますし、最高裁判所も合憲と判断しています。
 世論調査がなされますが、死刑廃止の意見は、少数派です。
 法改正の見込みもなさそうです。

 法務大臣の個人的意見は関係ありません。法務大臣に死刑執行の命令義務があるということはわかっているのですから、死刑反対なら、法務大臣にならなければいいだけのことです。

 刑事訴訟法475条を無視するような運用では法治国家として失格ですね。

 なお、死刑は一度執行してしまうと、遺族の再審請求によって無罪となった場合「とりかえし」がつかなくなります。
 再審の請求が繰返されている場合に、死刑の命令を「ためらう」ことは、理解できないわけではありませんが、死刑囚が、犯罪を認めている場合に、死刑執行をしない理由はありません。


 ところで、死刑執行人に適さない人種がいるといわれています。
 ローマ人ですね。
 イエス・キリストは、ユダヤ人であり、ローマ兵により十字架につけられ、その後、槍でわき腹を刺され死亡しましたが、生返った(復活した)とされています。
 死刑執行の「しそこね」と非難されても仕方ありません。

 イタリアでは、平成6年から軍法会議によるものを除き死刑制度が廃止され、平成19年には、軍法会議によるものを含め死刑制度が廃止されているそうです。

 なお、イエス・キリストの死刑執行をしたのがユダヤ人であり、イスラエル人は死刑執行に適さないという人もいますが「間違い」です。
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