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よもやま話 バックナンバー2/2

蜘蛛の糸

芥川龍之介の小説に「蜘蛛の糸」というのがあります。

 あらすじは以下のとおりです。

 お釈迦様が池のふちを歩いていると、極楽の池の真下は、ちょうど地獄の底になっていて、お釈迦様が池からのぞきこむと、地獄の底で、カンダダ(犍陀多)という地獄におちた大泥棒が苦しめられていました。
 お釈迦様は、大悪人のカンダダも、一度だけ善行をしたことを、ふと思い出しました。 カンダダは、森を通る時に、あしもとの蜘蛛を踏み潰さずに助けたことがありました。 お釈迦様は、そのことを思い出し、カンダダを地獄から助け出してやろうと思いました。

 蓮の葉の上に、極楽の蜘蛛が糸をかけていました。
 お釈迦様は、極楽の蜘蛛の糸を地獄にたらしました。
 蜘蛛の糸を見つけたカンダダは、大喜びしてのぼりはじめました。
 カンダダは、長い長い道のりの途中で途中で一休みしました。
 下をのぞき込むと、自分のあとに、何百、何千という地獄の罪人たちが、蜘蛛の糸をつたってのぼってきているのが見えました。自分ひとりでさえ切れるかも知れないのに、何百、何千の人数がのぼってきたらたまりません。
 カンダダは、「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸はおれのものだぞ。お前たちは一体誰にきいて、のぼって来た。下りろ。下りろ」と叫びました。
 その瞬間に蜘蛛の糸が切れてしまいました。

 一部始終を見ていたお釈迦様は、悲しそうな顔をしました。


  「司法試験合格者数についての弁護士の内輪もめ」 に記載したとおり、平成20年8月6日、大阪弁護士会で臨時総会で、去年・一昨年に弁護士になった人が、自分の合格したときの試験より、試験の合格者数を減らせと論陣を張った弁護士がいたようです。
 弁護士の増員に登録1年目、2年目の弁護士、それもロースクール出身の弁護士が反対しているというのを聞くと、なんとなく芥川竜之介の「蜘蛛の糸」を連想してしまうと、ある弁護士のブログに記載されていました。

 これを見て、おもわず「ふきだして」しまいました。
 当該ブログは「蜘蛛の糸 連想 法律事務所」で検索してみてください。
 なかなか、切口が新鮮というか、私など固定観念のかたまりのような人間には思いもつかない発想です。

 ちなみに、マスコミ報道にもありましたが、弁護士は、自分が合格した年の司法試験の合格者数を「法曹として適格な合格者数」「それ以上は水増し」と考える傾向が強いようです。
 500人時代が長く続きましたから、47期(平成4年合格)以前の弁護士は、500人までが適格者と考えている人が多いと思います。
 長い間、司法試験にチャレンジして(司法試験浪人して)、やっと合格した人にとっては、500人以上の合格者を快く思っていない人が多いようです。それなら自分は貴重な青春時代を無駄に過ごさずにすんだはずなのにと思うからでしょう。
 特に、2300人が合格者500人時代の短答式試験の合格者数ですから、2300人の短答式試験に何度も合格しながら、500人の論文式試験に合格しなかった人にとって、合格者数2300人をこえる今の試験なら、とっくに合格していると不愉快な感じを持つのも当然かもしれません。
 ただ、あまり、声高に不平・不満をいう人は、なぜかいません。

 最も損なのは、自分の受験時に試験が難しかったし、また、弁護士が少なかった時代の「恩恵」の期間が短かった40期台の弁護士さんでしょう。私は32期ですが、10年裁判官をした「中途入社組」のため42期相当なので、最も損なグループに入ってしまいます。
 

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