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よもやま話 バックナンバー2/2

踏み字

遠い昔「踏み絵」という制度がありました。
 キリスト教が禁止されている時代、キリストや聖母マリアが彫られた板などを踏ませ、それを拒んだ場合は、キリスト教徒として処刑されるという仕組みです。
 処刑されるくらいなら、とりあえず踏んでおいて、あとから、懺悔するということで問題ないのではないかと思うのは信者ではないからでしょうか。

 近いところでは、「踏み字」がありました。
 鹿児島県議選の公職選挙法違反事件で、事情聴取を受けた容疑者が、警察官から、容疑者の家族の名前などを書いた紙を踏まされ、自白を強要されたというものです。
 特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条)「 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役又は禁錮に処する」に該当するそうです。
 「暴行又は陵辱若しくは加虐の行為」なんですね。

 日本人は、「踏む」という行為が嫌なのでしょうか。

 ヨーロッパの教会や僧院・修道院(Abbey。ドイツ留学中ロンドンを旅行したとき、日本語では「ウェストミンスター寺院」と訳されているので、付近にいた警察官に「Westminster Temple?」と聞いたら「Westminster is right」「But,not temple,but abbey」と訂正されたことがあります)にいくと、牧師・神父・司祭・司教などが、通路の下に埋葬されていることがよくあります。
 必然的に、牧師・神父・司祭・司教の墓を踏みつけていかないと前へ進めないのですが、逡巡しているヨーロッパ人は見たことがありません。
 「踏む」ということに抵抗がないんでしょうね。

 同じ「踏む」でも、方や「日常行為」、方や「暴行又は陵辱若しくは加虐の行為」、文化の差異というのは大きいものがあるようです。

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