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2013年バックナンバー

嫌悪される不動産

平成25年10月28日、神戸地方裁判所は、マンションの一室で自殺があったことを告げずにその部屋を賃貸したのは不法行為だとして、部屋を借りた男性が、家主の男性弁護士(兵庫県弁護士会所属)に約144万円の損害賠償を求めた訴訟について、「告知すべき義務があったのに、意図的に告知しなかった」として、弁護士に賃料や慰謝料など約104万円の支払いを命じました。

 当該弁護士は、平成23年5月、兵庫県尼崎市のマンションの一室を競売で取得し、経絡当時1人で住んでいた女性が、同月自殺しましたが、平成23年8月、女性の死を説明せずに男性とこの部屋の賃貸借契約を結びました。

 男性は、平成23年8月に引っ越しましたが、近所の住人から自殺の話を聞き、入居の翌日には退去し、平成23年9月20日に契約解除を通告しました。

 「心理的に嫌悪される不動産」をご覧下さい。

 心理的に「嫌悪」される不動産もあります。
 土地・家屋の売買の時、そこで「殺人事件」や「自殺」があった場合はどうでしょう。
 確かに、騒音、振動、異臭などはしません。
 普通の土地、普通の家屋です。
 しかし、目的物にまつわる嫌悪すべき歴史による心理的な欠陥があることになります。
 従って、「殺人事件」や「自殺」を知らずに、土地・建物を購入した買主は、物理的な欠陥でなくても、不動産に「隠れた瑕疵」(目にみえない欠陥)があるものとして、売買契約を解除できると解釈されるのが通常です。また、賃貸借契約の場合は、賃借人は、賃貸契約を解除できると解釈されています。

 賃貸借解除だけではなく、損害賠償も認められたということですね。
 賃料や慰謝料など約104万円は大きいですね。

 弁護士は「競売後の手続きは他人に任せており、自殺の報告を受けないまま部屋の明け渡し手続きを終えた」と主張していましたが、女性の死後に弁護士が部屋のリフォームを指示したことから、「部屋の心理的な瑕疵の存在を知らないことはあり得ない」と指摘されて敗訴です。

 訴訟で「大嘘」をつきますと、裁判所から「しっぺ返し」をくらいます。

 最初から事実を認めていれば、賃料や慰謝料など約104万円という判決は出なかったのかも知れません。

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