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2013年バックナンバー

100円の壁

平成25年5月10日未明(アメリカ東部時間9日午後)、ニューヨーク外国為替市場で1ドル=100円60銭付近まで下落しました。
1ドル=100円台をつけるのは、平成21年4月以来、約4年ぶりのことです。

 一本調子で下がっていた円ですが、平成25年4月のうちは、1ドル=100円という節目を、いつこえるか、いつこえるかと思っていた方もおられたかも知れません。

 平成25年4月のうちに100円をこえなかった理由の1つには、通貨オプションにあるといわれています。

 輸入企業などが為替変動のリスクを避けるために行う「通貨オプション」をしていました。

 通貨オプションとは、通貨に関する金融派生商品(デリバティブ)の一つで、特定の通貨をあらかじめ決められた期間または期日に、特定の為替レートで売ったり買ったりする権利を売買する取引のことをいいます。

 輸入企業が将来の円安を予想し、数カ月後に1ドル=100円で円を売ってドルを買う権利(オプション)を持っていると、1ドル=100円を超えるまで円安が進んでも、権利(オプション)を行使し、輸入コストを抑えることができます。

 円安が、予想外の早さで進んだため100円を超えるような円安水準を予想できず、「100円手前の水準でドルを買うオプションがまとまって積上がっていて、そのオプションが行使されたため、1ドル=100円をこえなかったということですね。


 実需以外の要素もあっようです。
 「ノックインでノックアウト」をご覧下さい。
 また、1度でも、1ドル=100円をこえれば、権利が消滅する条件の金融派生商品も多く、権利を失わないよう、1ドル=100円をこえないように、円を買い支える動きが、円の一段の下落を阻んだという見方もあるようです。
 もちろん、個人レベルのものではなく、ヘッジファンドの類による円の買い支えです。


 ただ、オプション取引は、期限付きです。
 平成25年4月30日という期限のものが多かったので、平成25年5月にはいると、1ドル=100円突破を妨げる力が弱くなりましたから、1度こえると、円安が加速されるのではないかといわれています。

 もっとも、ある意味で「適正な」為替レートに戻ったのであり、1ドル=100円程度で推移するという見方も多いようです。
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