司法 バックナンバー 2/3
偽札
刑法148条1項には「行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する」2項には「偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする」と定められています。
重罪中の重罪扱いです。
ちなみに、偽札をつかまされ、偽札とわかって他人に渡した場合どうなるのでしょうか。
刑法152条に「貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の3倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、2千円以下にすることはできない」とされています。
かなり軽いですね。
なお、偽札をつかまされたからといって、銀行では受け取りも交換もしてもらえませんし、警察に届けた場合、「新札に交換」ということもありません。
ただ、捜査に協力してもらったことに対する謝礼金の制度があります。昭和52年にできた「偽造通貨発見届け出者に対する協力謝金制度」です。
具体的な金額は明記されていませんが、実際の運営では、届出と同額が支払われているようです。
もっとも、当然の事ながら、取調べに協力しなければなりませんから、時間の無駄ではあります。
日本は、比較的、偽造通貨が流通することがめずらしい国といわれています。
最高額の紙幣が1万円ですし、紙幣の製造技術は、実質的に世界で一、二を争うといっていいでしょう。
1万円札は受取りますね。もっとも、弁護士に、偽札を渡す依頼者がいるとは思えませんし、100万円を超えるようなら、振込みにしてもらっています。
外国旅行を考えてみましょう。
ユーロは、高額紙幣は、受取りの際に、偽札でないかどうかチェックされます。
偽札が出回っているのでしょうね。
私自身は、50ユーロをこえる紙幣は持たないようにしています。
チェックされるのは不愉快ですが、両替やトラベラーズチェック換金のときだけ50ユーロ札を手にするわけですから、日本の銀行か、外国の銀行か両替商かホテルだけです。
銀行や両替商で、偽札をつかまされることは通常ありません。
50ユーロ札を出せば、20ユーロ札以上かえってきませんから、最初を除いて、チェックの対象にはなりません。
ドルも、高額紙幣は、受取りの際に、偽札でないかどうかチェックされます。
偽札が出回っているのでしょうね。
私自身は、20ドル札をこえる紙幣は持たないようにしています。
20ドル札でチェックされることはありません。
ドル紙幣でお金を受け取るのは、両替やトラベラーズチェック換金のときだけです。両替やトラベラーズチェック換金のとき、20ドル札以上の紙幣を持たなければ、絶対、手許には20ドル札以上のお金を持つことはありません。
あと、なぜ、ユーロが50ユーロ札で、ドルか20ドル札なのかという理由は、ドル札が、何ドル札か紛らわしく、タクシーを降りるときなど、下手をすると49ドル損をする可能性があるからです。
20ドル札なら、最悪でも19ドルの損ですみます。
ユーロ札は、50ユーロ札と20ユーロ札以下を間違えようがありません。色と大きさが違います。5ユーロと20ユーロは色が似ていますが、大きさが全く違います。
韓国で偽札など考えたことはありません。
ついこの前まで、最高1万ウォン札も750円札ですから。万一、偽札でも、750円札をチェックする「物好き」はいません。
もっとも、今年、5万ウォン札がでましたから、要注意です。
もっとも、旅行者が、5万ウォン札を受取るのは、銀行か両替商かホテルのみです。
ウォン札が足りなくなったとき、パスポートがないと銀行ではかえられないので、南大門などの「おばちゃん」にかえてもらうことがありましたが(実は、レートがいいんです)、5万ウォンくらいになると、偽札が出回るかも知れませんから、空港の銀行かホテルでしか両替しません。
偽札で要注意は中国です。
最高は100元札(1500円)ですし、銀行かホテルのみでしか受け取りませんから、まず大丈夫でしょう。
中国では「50元札は絶対受け取るな」が鉄則です。50元札の偽札は結構出回っています。そして、お釣りに偽札が入っている恐れがあります。
物なら買うのを止めればいいわけですし、レストランにはいるときは、50元札のお釣りがないようにするなどして、私は断固拒否するようにしています。
中国人も、その点の事情はわかっているようで、「twenty yuan notes, please!」というか、あるいは「にじゅうげんさつとじゅうげんさつ!」と指2本を立てて、50元札を突き返せば、20元札×2枚+10元札1枚か、20元×1+10元札3枚にしてくれます。
20元札(300円)なら笑ってられますが、50元札(650円)は、やはり不愉快です。また偽札が次第に貯まっていきます。
それ以上に、20元札なら、どこかで疑われて拒否されても、他で受取ってくれる可能性はあるでしょうが、50元札の偽札は絶対受け取ってもらえないそうです。
しかし、このところ、中国国内で大量の100元の精巧な偽札が出回っていると言うことです。
「何か買い物をして100元を渡す」「店は100元を受取るがお釣りがないといって、100元を返却」「この時、店側が100元を偽札にすり替え」これは、お手上げですね。
せいぜい、100元札を渡して、100元札を戻してもらうとき、すりかえられていないか注意するくらいでしょうが、日本人には到底判別不可能だそうです。
もっとも、精巧な偽札なら、受け取ってくれそうな店はありそうです。