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代金不要の法律相談のわな
弁護士会の代金不要の法律相談は、多重債務者、生活保護受給者、母子家庭など「定型的」に資力のない人のためのサービスです。
地方公共団体の代金不要の法律相談は、住民サービスです。
前者は弁護士会が、後者は地方公共団体が弁護士の日当を支払っています。
ところで「多重債務者に限り法律相談の代金が不要」としている法律事務所があります。
過払いのありそうな依頼者は、うちの事務所でやりましょう、過払いのなさそうな依頼者は、大阪弁護士会の法律相談に行くことを勧める=放り出すところがほとんどのようです。
なぜ、わかるかというと、大阪弁護士会の相談担当をしていると、そんな相談者が「結構」くるからです。
なお、司法書士から大阪弁護士会の法律相談に回ってくる事件は、お金になり楽な業者のみ処理して、手数のかかる業者について「自分の手に負えないから弁護士に依頼してくれ」というパターンが多いようです。
本来なら、弁護士でしか処理できない元金140万円以上の業者について「自分の手に負えない」としなければならないのですが、残念ながら、弁護士会の相談をしていて、そんな事例は経験したことがありません。
もちろん、弁護士の場合、ある意味、他の弁護士を敵に回していいという覚悟の法律事務所ですから、長期的に安定した顧客を獲得し、顧問を増やしなどということは考えていません。
弁護士の中でも「刹那的」(今さえよければいいという考え)な人たちでしょうから、事件を依頼する弁護士費用にオンしていることになります。
多重債務者は、弁護士会でも無料なのですから、二度手間を踏んだり、報酬を払いすぎる必要など全くありません。弁護士会に行った方がずっといいでしょう。
予約という点からしても、大阪弁護士会の法律相談は、平日、夜間、土曜、土曜夜なんでもありです。日曜日も、弁護士会が委託している法律事務所が相談をしています。
キャンセル待ちでよければ、「ふらり」といっても、平日昼なら、キャンセルが出て、相談を受けられることが多いです(ただ、保証はできません)。
料金も、大阪弁護士会報酬規程というリーズナブルな金額です。
それ以上の報酬契約は弁護士会の審査をとおりません。
おわかりですね。
電車広告、電話帳広告、ホームページを含め「多重債務者に限り法律相談の代金が不要」とうたっている法律事務所に行くのは賢明ではありません。
二度手間になるおそれがありますし、そうでない場合は、余分に報酬を取られるおそれがあります。