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旅・交通 バックナンバー2/2

特定運賃

金券ショップをよく利用される方おられるでしょうか。
 私は電車の切符を買うことが多いです。

 普通の路線の切符は、10回分の代金で購入できる11枚綴りの回数券を購入し、これを「ばら売り」することで利益を得ています。
 もっとも、新幹線や遠方への切符など高額なものになると「C制」と記載された切符ということがよくあります。クレジットカードでの購入です。
 企業が、裏金づくりのために出張のために切符を買ったことにして、交通費で経費を落とし、金券ショップで換金をしていることがあります。
 また、多重債務者が、クレジットカードのショッピング枠で高額切符を購入し、直接、あるいは買取屋を通じて金券ショップで換金していることを意味します。
 ということは、「ばら売り」による利益の他、金券ショップの仕入値が定価より安いという利益があることになります。

 JRの場合、時々、本来の金額より異常に安く、片道だけで2枚、往復買えば4枚の切符を渡される区間があります。
 例えば、大阪・和歌山間は、通しで買うと1210円、大阪・天王寺が190円、天王寺・和歌山が830円ですから「ばら」で買うと190円得になります。
 天王寺で降りて、改札口を通って切符を買いなおせば無条件で190円得になります。ICOCAで天王寺の改札を出て、そのまま隣の改札から入り直している人を見ますが「挙動不審者」ではなく、合理主義者です。
 大阪から和歌山に、関空・紀州路快速で行くことになるのなら、降りるのは面倒ですからICOCAで1210円払わされますが、環状線と天王寺始発の電車を乗り継ぐなら、どうせ乗り換えのためにホーム階まで行かされるのですから、ただ改札を1回出入りするだけで、ペットボトル(それも「特保」)のお茶1本買えることになります。
 ということで、単なる往復なのに、大阪・天王寺間の回数券2枚と、天王寺・和歌山間の回数券2枚を渡されます。 

 なぜ、こんな「逆転現象」が起きるかというと「特定運賃」といって、JRは、私鉄競合路線についてのみ、特定区間を安くしているのです。
 京阪神地区では、京都・大阪間(阪急・京阪と競合。540円)、大阪・三ノ宮間(阪急・阪神と競合。390円)、大阪・宝塚間(阪急と競合。320円)、天王寺・和歌山間(南海と競合。830円)していますから、その区間を乗ると安くなるのですが、区間をはずれたとたん、本来の運賃で計算して高くなるので、「安くなる区間の切符」+「はずれた区間の切符」の「ばら買い」の方が、通しの切符より安くなります。

 そんな路線は「めったに使わないだろう」と言われる方があるかも知れませんが、京都・大阪間は540円、大阪・三ノ宮・神戸間は390円、京都~三ノ宮・神戸間は1050円です。大阪で下車せず、京都から神戸に行く方は結構多いと思います。120円の損です。
 先程述べたように、金券ショップで回数券を2枚を買っておけば、途中下車する必要もありません。

 なお、回数券でなく、定期券も同じです。
 新三田・宝塚間は320円、宝塚・大阪(北新地)は270円、新三田・大阪(北新地)は760円ですから、この区間を通勤している人は、2枚の通勤定期を持っているのが普通です。というか、ある程度の規模の民間企業では、通しの定期券代金は出してくれないでしょう。

 地方の裁判所に行くのなら、経費は依頼者負担でどうでもいいのですが(神戸地方裁判所に行くのに、タクシーで新大阪まで行き、新幹線で新神戸、新神戸からタクシーに乗るという弁護士さんもおられます)、経費が「概算払いの精算なし」の契約のとき、あるいは、私のように和歌山に墓参りに行くときは「自腹」というのなら、平日の昼ご飯のついでに、金券ショップに寄るというのも悪くありません。

 なお、出発駅で、分割した2枚の切符を売ってくれていっても断られますし、回数券は2枚もっていなければ、出札時に、本来の運賃額と回数券の券面額との差額を徴収されてしまいます。なお、和歌山・天王寺の回数券を見せれば、和歌山駅の緑の窓口で、天王寺・大阪間の切符は売ってくれます。買う人が結構多いですから、駅員も慣れたものです。

 ちなみに、もちろん、キセルではなく合法です。
 行きなれない区間に行くときは、少しスリルがありますが・・

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