旅・交通 バックナンバー2/2
マイレージの負債と会計処理
また、家電量販店等で買い物をすると購入金額に応じてポイントがもらえます。
このうち、家電量販店のポイントについては、発行企業にとっては商品券を発行しているようなものなので、一般的に、ポイント発行残高×予想使用率(全部が全部使用されるわけではありません)を「引当金」=「負債」として貸借対照表に計上していることが多いと思われます。
銀行、カード会社等も同じです。
しかし、航空会社は、発行したマイルをどのようにして処理しているでしょう。
全日を例にとると、マイル発行時には、何も会計処理せず、マイルの交換・利用時に、100%値引きとして計上し、未使用マイルは、引当金処理をしています。
まずも、金券とは異なり、特典航空券を利用してもらう分には、飛行機を飛ばす時は、顧客の多い少ないに関わらず固定費が発生するのみで、マイレージを使用した顧客がいても追加コストはわずかと考えていると思います。
また、企業が発行するポイントやマイレージをコストして捉えるならば、顧客の多少に関わらず固定費が発生する業種では、ポイントやマイレージを使用した顧客がいても追加コストはわずかなので、引当金の計上は追加コスト分だけという考えに一定の説得力があります。
なお、現実に、3年間の有効期限のうちに、特典航空券や利用券にかえるだけのマイルがたまるという人は多くないでしょう。
商品券にかえるなら1万マイル、特典航空券にかえるなら、1万5000マイル必要ですが、ヨーロッパに団体旅行に行っても、6000マイル強しかたまりません。
しかし、IFRS(International Financial Reporting Standard:国際財務報告基準)が、近い将来予定されています。
金融庁平成21年2月に公表した日本版ロードマップ案によれば、日本の上場企業について、平成27年から平成28年にIFRSの強制適用が始まる見込みです
IFRSでは、現在の会計はできなくなります。
つまり、IFRSにはIFRIC13号「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」という会計基準があり、この中でポイントの付与は、① 販売促進のための費用か=引当金方式、② それ自体が販売取引の一部を構成するか(抱き合わせ販売)=売上分割方式、のどちらに該当するかという議論がされていて、最終的には、②ポイントの付与自体が販売取引の一部を構成する、という考え方が採用されています。もちろん批判もあります。
この考え方によれば、例えば、販売対価として5万円を受け取り、1万円分のポイントを発行した場合は、売上に計上できる金額は、5万円ではなく、4万円になります。
2万円分については繰延収益として計上され、ポイントが使用された時に収益として計上されます。
顧客が、どれぐらいのポイント残高を抱えているか,つまり航空会社側からすれば,お顧客客さんからどれぐらい借金(無利子)しているのかが、定期的に公開されます。
これまでは、簿外債務=「隠れ借金」に近い扱いだったのですが・・