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司法 バックナンバー 1/3

修習生の体験修習

香川県多度津町沖に、海上保安本部広島航空基地のヘリコプターが墜落しました。

 犠牲になられた方々のご冥福をお祈り致します。

 さて、最初の墜落の発表の際に「パトロール中」であったものが、「デモフライト」であったと変更されて不審感をもたれた方が多かったのではなかったでしょうか。

 岡山県倉敷市の海上保安部所属の巡視艇に司法修習生を乗せた体験航海中に、ヘリコプターを、デモフライトさせていたのです。
 これ自体は、何も責められることはないのでしょうが、なぜ、隠そうとしたのかは疑問です。
 「修習生に配慮した」ということはありえません。自分の経験からして、修習生など、世間体を気にする「玉」ではありません。
 実際は、修習生を指導する検察官(あるいは裁判官という可能性も否定できません)の立場に配慮したものでしょう。

 修習生は、裁判修習中と検察修習のとき、いろいろな「社会体験」をさせてくれます。

 私のような東京修習組は「おもしろい」ものはありませんでした。
 もともと、数が多すぎて「大切」にされていません。

 「刑務所・鑑別所の見学」「死体解剖立会」「パトカー乗車」「スリ操作の見学」など、「いかにも」修習生という感じですね。
 他の地方で修習された方は、巡視艇に体験航海として乗せてもらったり、今はないでしょうが、貨物列車を「運転」させてもらったり、いろいろな経験をしている話をよく聞きます。

 なお、定番は、「刑務所・鑑別所の見学」でしょう。
 裁判官が、引率して「刑務所・鑑別所の見学」をしたあと、一泊して懇親会をするのです。
 私も、高松地方過程裁判所、和歌山地方過程裁判所の裁判官時代、「引率」役を引受けることが多かったです。
 どこにいっても、「世話役」ばかり回ってくる人間はいるものですね。

 なお、判事は指定職(審議官級(部長・局次長・地方支分部局の局長など)扱いですから、旅費に特別車両料金(グリーン料金)がついたり、出張旅費も多いものです。

 修習生の引率した際の宿泊ホテルでの「宴会代」は、わずかの修習生の日当のほか、引率した裁判官の旅費・日当があてられます。
 判事補では、旅費・日当が安いことから、判事補が引率した場合、判事が引率したと経理処理がなされることが多いようです。出張命令も判事に対しなされます。
 本来の判事が急用ができたため、代理の判事補が「急遽」出張し、経理は「ミス」で訂正がなされなかったことになっていると先輩の裁判官から聞いたことがあります。

 私などは、出張しているのに、出張命令や経理上は「出張していない」という「幻の出張」がずいぶんあることになります。

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