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旅・交通 バックナンバー1/2

全日空のLCC

全日本空輸は、平成22年9月9日、格安航空会社(LCC)を設立するとの取締役会決議をしました。

 航空自由化などを背景に、フィリピン・マレーシアなどの東南アジア、中国、韓国などでLCCが勢力を拡大しており、昨年から日本への乗り入れも相次いでいます。
 全日空は、成田など首都圏空港の発着枠拡大により、LCCの就航が本格化し、競争が激化するのは必至とみて、自前のLCCを設立して対抗する狙いです。

 「ANA」とは別ブランド、香港系投資ファンドに加え、国内の旅行会社やホテルなどから出資を募って会社を設立し、関西国際空港を拠点とし、国内線、国際線で平成23年運行開始、自社を含む大手の半額程度の運賃をめざすそうです。

 出資を、香港系投資ファンドに加え、国内の旅行会社やホテルなどから募る理由は、
「これまで大手航空会社が作ったLCCの失敗は、大手航空会社が、経営に大きく関与することで独自性を消失させた」ことだそうです。

 関西空港を拠点にするのは、24時間運用で発着枠に余裕があり、周辺人口も多いからだそうです。
 関西国際空港会社とLCC専用ターミナルの新設を協議中で、着陸料や施設使用料などの条件を詰めているようです。ただ、LCC専用ターミナルの新設は難しいかも知れません。

 既存の大手航空会社の半分の運賃レベルを実現させていくというのは、そうでもしないと、東南アジア、中国、韓国などの航空会社と競争にならないからです。


 運賃を下げる方法は、1)小型の単一機種(通路が1本の航空機。B737クラス)が空港間を、短時間の駐機で、単純に折返すパターンにより、低コスト運航を実現する、2)基本運賃でカバーするのは「目的地への移動」に限る。機内のサービスは有料化する、3)航空券の販売は、インターネットのみによる、など、既存LCCと同じ戦略です。
 日本航空の人員削減であぶれた操縦士(記帳・副機長)、客室乗務員を「安く」買いたたくということも想定されています。

 ただ、最大の難関は、関西国際空港の「ばか高い」「発着料」でしょう。
 関西国際空港を経営する会社の有利子負債は大きいですが、「政策的」「戦略的」な価格でできるのかどうかが、成功の鍵を握りそうです。

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