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旅・交通 バックナンバー1/2

全日空のLCC戦略

全日空が、海外の航空会社やファンドと共同出資で格安航空会社(LCC)を設立する方針を固め、平成23年にも発足させるそうです。
 アジアをはじめ6時間以内で飛べる海外拠点と日本との間を、大手航空の半額以下の運賃で運航するサービスを来年にも開始する意向だそうです。

 新会社は、ANAとは別ブランドとし、従業員もANAグループとは別の給与体系で新たに採用し、リストラで退職する日本航空のパイロットを雇入れるという方針です。
 日本航空も落ちましたね。
 やはり、倒産はしたくないものです。

 なお、目的ですが、航空自由化の進展を背景に、中国や東南アジアの有力格安航空が日本に本格進出を始めていることに「対抗する」とされています。
 あまり、「もうけてやろう」という、積極的な理由ではなさそうです。
 全日空は、日本のLCCが成功しないように同区間の割引料金を出したりして、傘下におさめ、尊下に入らないスカイマークは「目の敵(かたき)」にしていますから、あまり「やる気」もないのでしょう。

 現在、オーストラリアのLCCであるジェットスター航空が、ゴールドコースト経由のシドニー線・ケアンズ線、ジェットスター・アジア航空が、台北経由でシンガポール線、
 また、セブパシフィック航空のマニラ線、済州航空のソウル線、エアプサンの釜山線など、関空発着のLCCは多いです。

 LCCのビジネスモデルは、
 「単一機材」により整備部品の種類も少なくてすみ、パイロットの資格も1つでよく、いという点、スケジューリングが楽になり、運用効率が高くなります。
 「Webサイトでの直販」により、販売手数料がかからず、料金はきめ細かく設定できされており、路線だけでなく、チケット予約がフライトに近くなるほど高くなるような仕組みが導入されています。
 「機内サービスの有料化」により、機内に積込む飲食物が少なくてすみますし、時間も節約できます。もちろん、機内の飲食代は回収できます。
 「着陸料の安い第二空港使用」により、離発着料が節約できます。

 なお、日本で「第二空港使用」といえば、茨城空港、静岡空港、神戸空港などが考えられますが、閑古鳥の鳴いている(上品な表現をすれば「離発着能力に余裕がある」)関空を使わない手はありません。
 なにせ2000万人の後背人口がいますし、観光資源もたっぷりあります。

 全日空がLCCの拠点としたい関西国際空港は、2009年から新規で国際線を就航する航空会社の着陸料の実質無料化に踏切っています。利用料が安くなるLCC専用のターミナル建設も検討を始めています。
 ただ、着陸料の減免は、永続的なものになるかどうかは不明ですが、着陸料の減免がなければ、関空の魅力はありません。

 ちなみに、関西人は倹約家ですから(関空発着の航空券は、ビジネスクラスが売れず、エコノミークラスの客ばかりで儲からないから撤退したというのが、乗入れていた各社の本音です)、LCCの需要は大いに期待できます。
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