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交通事故

債務不存在確認請求訴訟

 その昔、私が裁判官をしていたころは、自動車保険会社が、被害者の障害の程度からして通院期間が長すぎるといって、平気で「債務不存在確認請求訴訟」を提起していました。

 治療が長くなければ、医療費はかさみますし、入通院慰謝料は高くなる、入通院費や休業損害も増えます。

 訴訟をおこせば、相手に弁護士がつくだろう(本人訴訟は難しいですし、欠席すれば、敗訴して請求権を失います)ということになります。
 通常は、被害者が、弁護士に依頼して、弁護士同士の「まともな」話し合いになることが期待されます。
とはいっても、本当に医師の指示にて治療中なのに「債務不存在確認請求訴訟」を提起するとか、被害者が「被告」になるということなど、どう考えても、弊害が多すぎました。

 ということですが、この「やり方」はあまりにひどいと、裁判所サイドからクレームが付きました。
 今は、「債権額確定の調停」が流行です。
 おだやかですし、弁護士を依頼しなくても、調停委員の説得に賭けているわけです。
 もっとも、2、3度無断欠席すれば、円満解決不能として、「債務不存在確認請求訴訟」をおこすのですから、その布石という意味も持っています。

 ただ、一般に「性急すぎる」きらいがあるように思います。
 事案にもよるでしょうが、せめて半年やそこらは待っていてほしいものです。

 なお、新手の方法として、弁護士会長からの「23条照会」を悪用して、医療機関に対して、「治療している医学的根拠は何か」などと医学論争を持ちかけ」て、「暗に」治療をやめさせようとする損害保険会社があります。そんな指示に従う弁護士もいます。医療機関も、不愉快このうえないことになります。
 保険会社も保険会社ですが、そんなことをする弁護士も弁護士のように思います。
 中には、事件全体を受任しておらず、「23条照会」のみの受任というひどい事例もあるようです。
 こんな「23条照会」の申請がありますから、「まっとうな」「23条照会」の申請が「あおり」を食って、「遅延」や「どうでもいいような細かい補正指示」などの弊害が生じています。

 もっとも、保険会社の顧問弁護士の置かれた立場はかなり苦しく(「かわりの弁護士はいくらでもいる」という「殺し文句」のようです)、保険会社の「いいなり」になっていることが多いので、力関係などから、弁護士としては「やむを得ない」かもしれませんが「弁護士の品格」はないような気がします。

西野法律事務所
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