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債務(借金)問題

債務・借金

自由財産の拡張

個人の破産事件で管財事件となるものは、主として以下のとおりです。

 1 管財処理が不可欠な場合
   剰余価値のある可能性のある不動産を持っている方、事業者で、売掛金があったり、未払賃金・退職金が残っていたり、賃借事務所・工場などがあったり、価値のある什器備品、原材料のある方などは破産管財人がつきます。また、法人代表者も同じです。
 2 自由財産拡張目的
   破産管財人をつけてもらえば、現金、預金保険解約返戻金、自動車、退職金見込額の8分の1の合計額が99万円までなら、自分の財産を守ることが可能となります。
 3 免責観察型
   本来、ギャンブル、浪費など免責不許可事由がある破産申立事件について、同時廃止にせずに管財人をつけて調査させ、最終的に裁判所が管財人の報告書を見て免責の可否を判断するものです。
管財人は、申立後の生活状況や、今後同様の行為を繰返す可能性の有無などを調査します。具体的には、破産者に家計簿をつけてもらいレシートを集めさせ、現在の経済状況を把握するとともに、麻痺している金銭感覚を取戻し、破綻状態に至った原因について真摯に反省すれば免責相当の意見をもらえます。
    ただ、私は、本来このような場合「個人民事再生」でなすべきと考えていますし、万一管財人が「きつい」方だったら、破産にはなるわ、免責にはならないで最悪の事態になりますから、申立てたことは一度もありません。

 このうち、自由財産拡張目的の管財人選任申立てについて説明します。

 おおざっぱに言いまして、不動産所有者などを除いて、20万円以上の財産をお持ちの方で破産という方はあまりおられません。
 破産で弁護士に依頼する際には、保険を解約したりしてしまっている方が多いですし、自動車などもかなりの年式、あるいは、所有権留保のついた換金できない自動車です。

 通常は、20万円以上の財産をお持ちの方というのは、普通の生活をしていた人が、会社や事業者の連帯保証をし、会社や事業者が倒産した場合です。

 なお、今は、サラ金や信販会社からの現実の過払金が20万円を超えるという方が多いです。
 もっとも、過払金の「おかげ」で破産はせず、任意整理ですむという方が多いように思います。ちなみに、過払金から弁護士報酬を引いても債務が残った場合、健康な青壮年者が、100万円程度の少額の借金では、裁判所は破産させてくれないことも結構あります。歳をとっていたり(「後期」高齢者とはいいません。老齢年金生活者で十分です)、生活保護受給者、母子手当受給者などは、極端な話、30万円~50万円程度の負債でも破産はさせてくれます。

 自由財産拡張目的の管財人選任申立てには、申立代理人の弁護士費用、官報公告費用や郵便切手・印紙などの実費の他に、裁判所(大阪地方裁判所の場合)に20万5000円を予納しなければなりません。
 20万5000円は、管財人となる弁護士さんの報酬となります。

 つまり、財産が20万円以下なら同時廃止、財産が40万5000円以下なら、債権者に按分弁済することによって、管財人をつけずに処理する方=同時廃止が賢明です。
 同時廃止は、管財人に呼び出されることもありませんし、郵便は管財人ではなく自分のところ、免責も早いです。

 財産が40万5000円をこえると、破産管財人をつけてもらえば、預金、保険解約返戻金、自動車、過払金、退職金見込額の8分の1の合計額が99万円までなら、原則として、自分の財産を守ることが可能です。あくまでも原則ですのでご注意下さい。

 ただ、管財人に呼び出され、郵便は管財人のところへ行き、郵便物も適宜取りに行く、免責も遅くなります。
 なお、他サイトですが 「大阪地裁の自由財産拡張制度の運用基準」 を引用しておきます。

 詳しくは弁護士にお聞き下さい。なお、すらすらと答えられないからと言って、弁護士に能力がないと思わないでください。驚くほど複雑ですし、管財人である弁護士により細部の運用もまちまちです。


 ここで、自由財産は「現金は99万円まで」「その他財産は99万円まで」と誤解する書き方をしているホームページがあります。
 条文上は、そのとおりです。しかし、それだけの内容のホームページがあれば「素人」が書いたものと考え、他の事項についても、「眉につぱをつけて」見る、あるいは、その余はパスするのが賢明です。
 少なくとも、大阪地方裁判所の実務の扱いは、現金99万円は認めてもらえません。
 預金、保険解約返戻金、自動車の売却金、サラ金からの過払金は、それぞれ、現金になる前の「債権」「動産」として評価されてしまいます。現金とは見なされません。
 ただ、今年になって、預金口座に振込まれる毎月の給与は、現金と同じ扱いをしてくれるように変更なりました。

 なお、99万円の現金が自由財産というのは、民事執行法の差押禁止金額を、そのままもってきたもので、民事執行法の場合は、動産執行に行っても、自然人の99万円の現金は「指をくわえて」帰るしかないということです。
 破産法も、一応それに準拠していますが、198万円も認めてくれるほど、裁判所は太っ腹ではありません。
 裁判所が太っ腹かどうかというより、債権者が黙っていませんよね。
 個人債権者(「業者」が債権者である場合を除くという趣旨です)などは、破産しても自動車(どんなポンコツでも)に乗っているだけで「破産して、自分の債権を踏み倒しておいて、自動車に乗るなんて」と腹が立つそうです。

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